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2019年9月8日

『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』―“知ることで不安は払拭できる”を実行するための最良の入門書



いわゆる“老後資金2000万円問題”で明らかになったのは、日本人が持つ老後資金に対する不安の大きさでした。なぜ、これほど老後資金が心配になるのか。それは老後資金に関する具体像が「分からない」からにほかなりません。だから、各人が自分の老後資金についてしっかりと知り、考えましょうというのが金融庁の報告書の趣旨でした。しかし、それが騒動を巻き起こしてしまったのは、老後資金について「知る」ための具体的な方法が「分からなかった」からです。このほど、報告書を作った金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループ委員である竹川美奈子さんが『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』を刊行しました。これこそ老後資金について「知る」ための具体的な方法を詳細に解説したものであり、まさに“知ることで不安は払拭できる”を実行するための最良の入門書です。
2019年7月13日

マルキール先生は勉強をやめない―『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 』の翻訳が出ます



インデックス投資について研究するなら、必ず読んでおかなければならない基本文献の1冊がバートン・マルキール博士の『ウォール街のランダムウォーカー』です。その最新版である第12版の翻訳『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理』がこのほど刊行されます。第1版が出たのが1973年ですから、40年以上も世界中のインデックス投資家の間で読まれ続けているというのは凄いことです。まさに基本文献と呼ぶにふさわしい本ですが、それ以上に驚くのが、常に内容のアップデートが続けられてきたことでしょう。マルキール先生は勉強をやめない。これこそ学者の正しい姿です。最新の第12版でも博士の新たな知見が盛り込まれています。
2019年6月24日

『近代中国史』―“人民の社会”中国の社会経済構造の本質



米中貿易摩擦が一段と激しくなる中、日本人だけでなく欧米人も中国に関して理解不能な点が多々あることが明確になりました。知的所有権の問題や遵法精神についてなど中国と欧米(と日本)は、どうも考え方が根本的に異なるように思え、中国を理解することを難しくします。なぜ中国の社会を理解することが難しいのか。最近、岡本隆司『近代中国史』を読んで、その疑問が氷解しました。中国においては、「国家」や「社会」なるものの意味が、欧米や近代以降の日本が理解している“近代的”な「国家」や「社会」と根本的に異なるのです。そこには伝統中国社会の極めて特異な社会経済構造があります。
2019年6月14日

“老後資金2000万円”騒動は現代の黒船―これからどう行動するかで未来は残酷なほど異なってくる



金融庁が発表した「高齢社会における資産形成・管理」報告書から、なぜか「老後資金は約2000万円必要」といった内容が独り歩きしているわけですが、やはり当局から具体的な数字を示されると大きなインパクトがあるということでしょう。こうした捉え方は粗雑で真実を表していないという点で問題が多いのですが、結果的に社会に大きな影響を及ぼすことも事実です。実際にそうした動きが見えてきました。

「老後2000万円必要」 投資への関心高まる(NHK News WEB)

このニュースを見て、「あの報告書は結果として現代の黒船だったのだな」という印象を持ちました。だとするなら、現実という黒船を目にして、今後どのように行動するかによって私たちの未来は残酷なほど異なるものになっていくのでしょう。
2019年6月12日

金融庁の「高齢社会における資産形成・管理」報告書が本当に伝えたかったこと



金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」がまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」に端を発する騒動は、完全に政治問題になってしまいました。7月に参議院選挙が控えていることもあり、野党はこれを「公的年金破綻論」の証拠として政府批判の材料に利用しています。政府・与党の対応も因循姑息の極みで、諮問した当事者である麻生太郎財務大臣が報告書の受領を拒否すると発言するなど無茶苦茶です。もはや誰も報告書そのものを読もうともしないし、報告書作成のために議論した民間有識者の真摯な思いを想像することすらしようとしません。本当に情けないことです。だからこそ、少しでもいいから報告書が本当に伝えたかったことをネット上に残しておきたいと思います。
2019年5月29日

年金について語るならこの2冊を読んでからにしよう―2019年5月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績




10連休があったもののプライベートでバタバタすることが多かった5月もあとわずかです。SBI証券のオリジナルプランで拠出・運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の5月の買付(4月拠出分)が約定していました。iDeCoは金融庁が発表した報告書案でも注目された老後に向けた自助努力の有力なツールです。金融庁の報告書案をめぐってネットの一部でなどで騒動が続いていますが、とにかく年金問題で騒動が起こる原因の大部分は、声を上げている人の多くが公的年金制度について決定的に無知だということがあります。そこで今回は「年金について語るなら、この2冊を読んでからにしよう」と言える基本図書を紹介したいと思います。
2019年5月26日

『なぜデフレを放置してはいけないか 人手不足経済で甦るアベノミクス』―経済学者としての良心のほとばしりが心を打つ



経済学者の岩田規久男先生が日銀副総裁退任後、矢継ぎ早に新著を出しています。金融政策の実務に携わる経験を経て、その主張は一段とパワーアップしたようです。新著『なぜデフレを放置してはいけないか 人手不足経済で甦るアベノミクス』を読んで一層、その感を強くしました。この本は、なぜ国民経済にとってデフレが“悪”なのかを明晰に説明してくれます。そしてなにより「(「デフレなど問題ではない」と言うような)鈍感な経済学者は失業者や非正規社員の苦しみをわかっているのか」という著者の指摘に経済学者としての良心のほとばしりが感じられ、非常に心を打ちます。
2019年5月22日

2009年のバートン・マルキール博士インタビュー再見



先日、水瀬ケンイチさんが次のツイートをしているのが目に入りました。

これを見てふと思い出したのが、たしかこの来日時にマルキール博士がモーニングスター・ジャパンのインタビューを受けており、それがYouTubeにアップされていたことです。それで久しぶりに探してみたところ、今でも残っていました。再見して思わず唸る。驚くべきほど明晰な内容を語っており、あれから10年を経て博士が語っていたことの正しさがほぼ現実によって証明されていることに驚きます。古くからのインデックス投資家には既知の動画ですが、新しくインデックス投資を始めた人も多いですから、あえて紹介します。ぜひ一見することをお勧めします。
2019年5月15日

貯金も株式投資も“バカ”になってはいけない―荻原博子×中野晴啓対談を読んで感じたこと


「週刊エコノミスト」2019年5/21号に経済ジャーナリストの荻原博子さんとセゾン投信の中野晴啓社長の対談が載っています。「投資なんか、おやめなさい?」という刺激的なタイトルだったので、リスク資産への投資は無用派の荻原さんと長期投資必要派の中野社長がどんな議論をするのか興味深く読みました。そこで感じたことですが、どうも議論がかみ合いません。その理由はいろいろあるのですが、やはり根本原因は荻原さんが「投資」という言葉の意味を勘違いしているからでしょう。荻原さんは「投資」と「貯金」という言葉を対立する意味で使っていますが、これが大きな勘違いです。こういった勘違いは荻原さんに限らず世間一般でもよく見かけます。そして、そうした勘違いが、ある種の“バカ”を生み出してしまう。でも、貯金にしろ株式投資にしろ“バカ”になってはいけないのです。
2019年5月7日

GW後半は実家に置いたままの蔵書の整理に明け暮れました



今年のゴールデンウィークは天皇陛下の即位などもあって怒涛の10連休だったわけですが、それもついに終わってしまいました。前半こそ夫婦そろって妻の実家に行ったり、二人で百貨店に買い物に行ったりとそれなりに休日らしい過ごし方ができたのですが、後半は私一人で自分の実家に日参でした。実家の自室に蔵書を置いたままにしているのですが、両親から「いい加減に整理しろ」とのお達しが。しかし妻からは「新居に余計な本は持ってこないで」との命令も。数百冊(古雑誌を加えると千冊近くになる)にも上る蔵書をどうすべきか、途方に暮れているのです。
2019年4月10日

『ETF(上場投資信託)まるわかり! 超活用術2019 』に私のETF投資術が掲載されました



このほど刊行された東京証券取引所監修『ETF(上場投資信託)まるわかり! 超活用術2019』 (日経ムック)に私のETF投資術が掲載されました。2018年版でも少しだけ登場させてもらいましたが(関連記事:『ETF(上場投資信託)まるわかり! 徹底活用術2018』にコメントが掲載されました)、今回はなんと1ページでの掲載です。ちょっと気恥ずかしいものですが、私なりにETFの魅力を書いてみました。ムック自体も非常に興味深い内容となっているので、ぜひ手に取ってもらいたいと思います。
2019年2月12日

妻に本を贈る―家庭としての“資産形成事始め”



新婚生活が始まり、すべてが初めての体験で非常にバタバタしています。でも、やっぱり新生活は楽しいですね。一家を構えたことで、なんとなく気持ちにも張りが出てきました。さて、結婚したことで個人ではなく家庭としての資産形成についても考えなければならなくなりました。そこで重要になるのがパートナーの理解です。家庭での資産形成は夫婦での共同作業になるのですから。ところがここで問題が。妻は今までずっと実家暮らしだったこともあり、お金に対する知識があまりありません。そこで一緒にお金について考えるために、簡単な入門書を贈りました。我が家の家庭としての“資産形成事始め”です。
2019年1月18日

時代を変えた常識革命―追悼 ジョン・C.ボーグル


バンガードの創業者でインデックスファンドの生みの親ともいえるジョン・C.ボーグル氏が16日に死去した。89歳でした。まさに“巨星、墜つ”という感じです。いまや運用業界における一大潮流になったインデックス運用も、この一人のイノベーターによって生み出されたのですから。しかし、ボーグル氏が本当に偉大だったのは、革新的なアイデアの根底に常にある種の“常識”を置いていたことだと思います。その常識革命が時代を変えてしまったのです。
2018年9月27日

初心者もちょっとしたアドバイスでコツコツ投資家になる―今月の積み立て投資(2018年9月特定口座)



毎年のことですが、この時期は仕事が猛烈に忙しいです。おかげでブログの更新だけでなくTwitterでのつぶやきも少なくなったぐらい。ただ、そんな状態でも自動積み立てサービスで今月の投資が実行されているわけですから、やはりコツコツ投資は偉大なのです。そんな中、ちょっとおもしろいこともありました。投資に関してまったくの初心者でも、ちょっとしたアドバイスがあれば立派なコツコツ投資家になるのだということを実感したのです。
2018年6月17日

『世界一ラクなお金の増やし方 インデックス投資はじめました』―資産形成・運用を“生活化”した先達の貴重な証言



インデックス投資ブロガー界の“仙人”ことNightWalkerさんの初の単著である『世界一ラクなお金の増やし方 インデックス投資はじめました』が刊行されました。これはなかなか貴重な本です。近年、日本でも普通の庶民が普通に資産形成・運用を日常生活の中に組み込むことが求められるようになっていますが、そういった資産形成・運用の“生活化”に成功した先達による貴重な証言だからです。
2018年5月12日

『金融広告を読め』―金融機関に騙されないための虎の巻



先日のオフ会でも話題になったのですが、あいかわらず金融機関による誤解を招くような金融商品の勧誘が続いています。例えば退職金を対象にした高金利定期預金と投資信託の抱き合わせ販売などは、どの銀行でも大々的に広告宣伝を打ちながら販売しています。しかし、そういった金融商品が本当にお得なのかは、そうとうに吟味する必要があります。それほど日本の金融商品の広告は酷い。ほとんど騙しのような手法が横行している。そうした金融機関による"ハメ込み"から身を守るための虎の巻として役に立つ本が、吉本佳生『金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか』。少し古い本ですが、まだまだ十分に役に立つ本です。
2018年5月4日

バンガード社の創設者、ジョン・C.ボーグル氏の著書の新訳が出る



Twitterのタイムラインを眺めていたら、興味深いシェアツイートが目に留まりました。バンガードグループの創設者であるジョン・C.ボーグル氏による『インデックス投資は勝者のゲーム──株式市場から確実な利益を得る常識的方法』という本が出るそうです。一瞬、新刊かと思ったのですが、表紙写真をよく見ると原著タイトル「The Little Book of Common Sense Investing: The Only Way to Guarantee Your Fair Share of Stock Market Returns」とありますから、2007年に刊行された本の新訳ということです。ただ、見逃せないのが「UPDATE AND REVISDE」の文字。Amazonの紹介文を読むと増補改訂第10版を底本にしているとか。これはなかなか興味深い本になりそうです。
2018年4月30日

日本でもパーソナル・ファイナンス教育が必要だ



日経新聞(電子版)にちょっと気になる記事が載っていました。金融ベンチャーがアンケート調査したところ、日本の20代から30代前半の若者のうち、93%が「自身の金融リテラシーは高くない」と回答したそうです。

金融リテラシー、若者の9割「高くない」(「日本経済新聞」電子版)

さもありなんと思いました。ただ、若者を「不勉強だ」「意識が低い」と批判してはいけないと思う。なぜなら、私も含めて戦後の日本人は、金融リテラシーに関するまともな教育を受けていないのだから。やはり日本でもパーソナル・ファイナンス(個人・消費者としての金融)に関する教育が必要だと強く思うのです。
2018年4月22日

投資初心者が求めているのは実体験のリアリティ



4月21日に金融庁主催の「つみたてNISAフェスティバル2018」が東京で開催されました。私は大阪在住なのでさすがに参加できませんでしたが、参加したブロガーさんによるTwitterでの実況で楽しむことができました。どの内容も興味深かったのですが、とくに印象的だったのが「はじめての投資!おススメの一冊ベスト10」です(私も投票しました)。結果を見て一番感じたのは、投資初心者が求めているのは理論だけでなく「実体験のリアリティ」だということです。
2018年3月29日

金融庁の「はじめての投資!おススメの一冊」募集企画に推薦したのはこの3冊



以前にブログでも紹介したが、金融庁が募集している「はじめての投資!おススメの一冊」に応募しました。1人3冊まで応募できるのですが、なかなか選ぶのが難しい。マニアックな本を選んでも初心者には向かないだろうし、かといってあまりに簡単すぎるものも味気ない。いろいろ悩みながら、3冊を選んでみました。選択基準は、投資だけでなく「資産形成・資産運用」を総合的に学べる本、インデックス投資の実戦的な入門書、そして“ちょっと本格的に勉強したい”という人向けの基本文献です。

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