Twitterのタイムラインを眺めていたら、興味深いシェアツイートが目に留まりました。バンガードグループの創設者であるジョン・C.ボーグル氏による『インデックス投資は勝者のゲーム──株式市場から確実な利益を得る常識的方法』という本が出るそうです。一瞬、新刊かと思ったのですが、表紙写真をよく見ると原著タイトル「The Little Book of Common Sense Investing: The Only Way to Guarantee Your Fair Share of Stock Market Returns」とありますから、2007年に刊行された本の新訳ということです。ただ、見逃せないのが「UPDATE AND REVISDE」の文字。Amazonの紹介文を読むと増補改訂第10版を底本にしているとか。これはなかなか興味深い本になりそうです。
ジョン・C.ボーグル氏はバンガード社の創設者であり、ある意味でインデックスファンドの生みの親ともいえる人物です。そのボーグル氏がインデックス投資の有効性についての考え方のエッセンスを著したのが2007年に刊行された「The Little Book of Common Sense Investing: The Only Way to Guarantee Your Fair Share of Stock Market Returns」でした。日本でも『マネーと常識』という書名で翻訳が出ており、高い評価を得ています。
ただ、旧訳版は既に品切れとなっており、重版される気配もなかったため古書価格もやや上昇していました。そんな中、新たに増補改訂第10版を底本にした新訳が出るということですから非常にありがたい。Amazonの紹介文を読むと、増補改訂版の特徴として次のように紹介されています。
本書の第1版が出版された2007年4月以降、ひとたび下落した株式市場が、その後、上昇を続けるなか、ボーグルの運用方針は投資家に成果をもたらし続けている。今回の記念すべき改訂版第10版では、データが更新され、新たな情報も盛り込まれた。また、ボーグルはアセットアロケーションと退職後の投資に関する2章を新たに設けたが、初版からの一貫した長期的視点に変わりはない。2007年以降、それこそリーマン・ショックや世界的な金融緩和など投資を取り巻く環境は激変したわけですが、そうした変化を経てボーグル氏がどういった考えを持っているのか非常に興味があります。また、アセットアロケーションと退職後の投資についての増補は日本でもかなりニーズのあるポイントでしょう。ぜひ読んでみたいと思います。
さて、ボーグル氏の著書と言えば、やはり何といっても『インデックス・ファンドの時代―アメリカにおける資産運用の新潮流』。これは凄い本です。ある意味でインデックス投資という手法の生みの親である著者が、膨大なデータを示しながら、それこそこれでもかというくらいにインデックス投資の有効性を徹底的に論証していく姿には、一種独特な迫力があります。インデックス投資についてちょっと本格的に勉強したい人にとっては必読の基本文献中の基本文献。少し古い本ですが、今日的な意義も失われていませんし、いまこそ読まれるべき重要な指摘も多い。そのあたりは私もブログで紹介しました。興味のある方は、こちらも合わせて読むことをお勧めします。
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