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2021年11月17日

インフレは株式よりも債券に打撃―「iTrust世界株式」の2021年10月の運用成績

 

サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2021年10月次運用報告が出ました。「iTrust世界株式」の10月の騰落率は+4.99%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+6.69%でした。前月に続いて参考指数を大幅にアンダーパフォームする残念な結果となっています。一方、市場は引き続きインフレへの警戒感が続いています。こうした中、ピクテは債券が大きな打撃を受ける可能性を指摘しています。

10月は、企業の7~9月期決算が市場予想を上回る結果となったことから中盤以降、株価も大きく上昇しました。業種別でも全セクターが上げており、とくにエネルギー、一般消費財・サービス、情報技術など銘柄が大きく上昇しています。このため「iTrust世界株式」も基準価額が上昇したのですが、参考指数には大きく劣後しています。比較的上げ幅が小さかったヘルスケア銘柄などのウエートが大きかったことが裏目に出たと考えられます。

11月に入りましたが市場では依然としてインフレ懸念がくすぶっています。「iTrust」シリーズの受益者に配信する機関投資家向けレポート「Barometer」11月号でも「金融市場を待ち受ける難局」と題して、インフレ圧力が想像以上に持続的なものとなる可能性を指摘しています。やはり新型コロナウイルス禍によるサプライチェーンの混乱に起因する供給制約が世界経済に大きな悪影響を及ぼし始めました。

こうした中、ピクテはインフレでとくに大きな打撃を受けるのは債券であると指摘しています。金利上場によって債券価格が下落するからです。既にハイイールド債は脆弱さが顕在化しつつあります。一方、株式も影響を受けるものの、その程度は債券と比べる小さい。経済成長は続いており、堅調な企業業績が支援材料となり得るためです。

やはりインフレ耐性という面では株式に一日の長があるという運用の基本が確認されました。インフレになれば販売数量が減らない限り企業の売上高も増加し、それが株価にも反映されるからです。ただし、消費者の購買力が低下するほどのインフレになると、企業の販売数量も減少するので、株式も大きな打撃を受けることになります。どこまでインフレ率をマイルドに保てるのかが中央銀行と政府の金融・財政政策のテーマになりそうです。

いずれにしても、デフレが当たり前だった日本の投資家にとっては、これから未体験の投資環境に入るかもしれません。こういう時こそ、シートベルトをしっかりと締めて、慎重な投資を心掛けるべきでしょう。同時に、そもそも資産形成・運用というのはインフレ対策として行うものであるという基本を改めて確認するときだと思います。

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【ご参考】
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