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2021年3月31日

行儀の悪い客を賭場に入れた貸元の自業自得―アルケゴスの追証で金融機関が巨額損失

 

ビル・ファン氏のファミリーオフィス(個人資産管理機関)、アルケゴス・キャピタル・マネジメントがハイレバレッジの取引に失敗し、大きな損失を出したことが話題になっています。金融機関への巨額のマージンコール(追証)が払えなくなり、金融機関が大きな損失を計上する見通しとなりました。日本でも野村ホールディングスや三菱UFJ証券ホールディングスが損害を被っているようです。この問題、原因はムチャな取引をしたファン氏にあり、基本的に金融機関は被害者なのですが、なんとなく同情する気になれません。なぜなら、そもそも行儀の悪い客を賭場に入れた貸元の自業自得という側面があるように感じるからです。

今回の事件は唐突に浮上したこともあって世間の耳目を集めているのですが、実際に中身もかなりダイナミックです。次のような報道がありました。


ファン氏の資産は1000億ドルを超えるまでに増え、これが数日のうちに消失したそうです。いわば壮大な花火を打ち上げわけで、その火の粉を浴びた金融機関が火だるまになっている構図です。ただ、この記事で注目すべきは、ファン氏の経歴でしょう。記事には次のように記されています。
フアン氏は2012年にインサイダー取引と中国の銀行株の操作した疑いで米証券取引委員会(SEC)から提訴されタイガー・アジア・マネジメントとタイガー・アジア・パートナーズを閉鎖している。フアン氏とこれら会社は4400万ドルを支払い、同氏は和解条件として投資顧問業界で働くことを禁止された。
過去にイカサマの前歴があるわけで、いわば札付きの人物だったのです。そうした人物を世界の銀行が再び顧客として受け入れていたことが問題視されるのは当然でしょう。非合法の博打の世界でもイカサマ師はその場で殺されても文句は言えず、たとえ命が助かったとしても賭場から永久追放されるものです。なのでアルケゴス問題での金融機関が巨額損失を被ったとしても、それは行儀の悪い客を賭場に入れた貸元の自業自得と言えます。

ただ、これによって一般の投資家に迷惑が及ぶとなると、これまた別の問題が生じます。やはり賭場では、遊びに来てる堅気衆に迷惑をかけることが、もっともやってはいけないことだからです。すると、いよいよ怖い胴元が出張ってくるわけで実際にそういった流れになりそうです。


こういうふうにムチャをする人間が出てくるたびにお上による締め付けが強くなる。それは金融機関にとって負担の増加を意味するわけですが、結局それも金融機関によるけじめのない営業行為が原因と言えるわけで、自業自得ということでしょう。ちなみに賭場ではイカサマ師が叩き出された後、貸元は堅気の客たちに「えらい無作法してすんまへん。機嫌直して遊んでおくなはれ」と詫びを入れるものです。今回、無作法の代償は高くついたということでしょうか。

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