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2018年6月3日

なぜ売買手数料無料が凄いのか―楽天証券が「iシェアーズ」ETFの売買手数料を無料に



すでに何人ものブロガーさんが報告していますが、楽天証券がブラックロックの東証上場ETF「iシェアーズ」シリーズ15本の売買手数料を6月6日から無料にします。

iシェアーズETF、楽天証券なら売買手数料0円(楽天証券)

これは凄いサービスです。なぜ売買手数料無料が凄いサービスなのかというと、証券会社の負担が極めて大きいから。まさに出血大サービスなわけです。楽天証券を使えば、ETFの活用メリットがぐっと増すことになります。

今回、売買手数料が無料になるは東証に上場されている「iシェアーズ」ETF15本すべて。主要な資産クラスのETFはほぼ網羅されていますから、これだけでポートフォリオを作ることも可能でしょう。個人的には以下のETFが魅力的です(カッコ内は証券コード)。

「iシェアーズTOPIX ETF」(1475)信託報酬:0.06%
「iシェアーズ・コアMSCI先進国株(除く日本)ETF」(1657)信託報酬:0.19%
「iシェアーズMSCI新興国株ETF」(1658)信託報酬:0.23%
「iシェアーズJリートETF」(1476)信託報酬:0.16%
「iシェアーズ米国リートETF」(1659)信託報酬:0.2%

また、ユニークな指数に連動するETFとして以下のようなものもありますので、この辺りもポートフォリオの味付けに使うと面白いでしょう。

「iシェアーズMSCI日本株最小分散ETF」(1477)信託報酬:0.19%
「iシェアーズMSCIジャパン高配当利回りETF」(1478)信託報酬:0.19%

最小分散ETFは株式ポートフォリオのリスクを最小化するように銘柄選定とウェイト設定されたインデックスが興味深い。高配当利回りETFは、それなりに分配金が欲しいリタイア層などにとって魅力的でしょう。なお、米国株に投資する「iシェアーズS&P500米国株ETF」(1655)もラインアップに含まれていますが、S&P500に投資するならカブドットコム証券で「フリーETF」としてやはり売買手数料無料で買える「SPDR S&P500ETF」(1557)の方が魅力的です。信託報酬はiシェアーズの0.15%に対してSPDRは0.0945%ですから。

ところで案外と気づきにくいのですが、売買手数料無料というのはじつは凄いサービスです。というのも、ETFに限らず証券取引所での売買の際に証券会社は取引所に場口銭を支払わなければなりません。このため売買手数料を無料にしてしまうと、場口銭は証券会社の持ち出しになってしまう。だから売買手数料無料というのは、文字通り出血大サービスなのです。おそらく運用会社(iシェアーズETFの場合はブラックロック)から販売奨励金のようなものが出ているからこそ可能になったサービスだと考えられます。

いずれにしても個人投資家からすればじつにありがたいサービス。ETFはノーロードが当たり前になりつつある投資信託と異なり、売買手数料がかかることがデメリットの1つだったわけですから、これが解消されたことで商品としての魅力がぐっとた高まります。とくにある程度の金額を一括投資したい人や、定期的に分配金を貰うことで日常のキャッシュフローの足しにしようと考えているリタイア層にとってETFは非常に優れた商品です。なので、今回の楽天証券とブラックロックの取り組みは素晴らしい。

さて、ETFの売買手数料無料のサービスといえば、すでにカブドットコム証券が一部のETFを「フリーETF」として売買手数料無料にしています。今回の楽天証券の取り組みは、これに続くものと言えます。こうなってくると競合するSBI証券の動きが気になるところ。SBI証券もカブドットコム証券や楽天証券に対抗して一部のETFを売買手数料無料にするようなサービスを始めると非常に面白くなる。

最近は通常のインデックスファンドのコストが大幅に低下したことでETFの存在感がやや埋没ぎみですから、こういった思い切ったサービスで普及とシェア拡大を目指すというのは大切なことでしょう。低コストで資産運用するときに、ETFも重要なツールだからです。

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【ご参考】
楽天証券は低コストなインデックスファンドの取り扱いも豊富で、米国株や海外ETFに投資する場合も利便性の高い証券会社です。また、個人型確定拠出年金(iDeCo)のプランも運営管理手数料無料で魅力的です。いずれもネットから無料で資料請求や口座開設できます。⇒楽天証券楽天証券確定拠出年金プラン

また、ETFの最新情報については簡便なムック本が出ていますので参考になるでしょう。私も少しだけコメントを寄せています。

『ETF(上場投資信託)まるわかり! 徹底活用術2018』にコメントが掲載されました

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