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2018年6月2日
アクティブファンドの評価は長い目で―「iTrust世界株式」の第2期運用報告書を読む
サテライトポートフォリオで少額ですが積み立て投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の第2期運用報告書(2017年4月11日~2018年4月10日)が出ました。第1期は2016年2月19日~2017年4月10日までの変則決算でしたから、今期が正味の年間運用報告となります。ファンドの騰落率は+12.5%、参考指数であるMSCIワールド指数(ネット配当込み)の騰落率は+9.0でした。分配金は見送りです。前期は参考指数から大きくアンダーパフォームしましたが、当期は大きくアウトパフォームし、ようやく調子が上がってきたというところでしょうか。ただ、設定来では、まだ参考指数に負けています。私は、アクティブファンドの評価というのは、ある程度、長い目で見る必要があると思っていますので、今後もこの調子で盛り返してもらいたいものです。
期中の基準価額と参考指数の推移を見てみると、17年内はほぼ参考指数に追随するのにとどまっていましたが、18年に入ってからの下落相場での落ち込みが参考指数よりも小さく、逆にその後の反発局面では参考指数を上回る上昇を見せています。銘柄選択が比較的成功しているということです。組入上位10銘柄の変化を見ると、ナイキやフェイスブック、アンハイザー・ブッシュ・インベブ、ハウエル・インターナショナル、ゾエティスが姿を消し、代わりにJPモルガン・チェース、インテル、メルク、VISA、コノコフィリップスが登場しました。また、組入れ1位はアップルからマイクロソフトに交代しました。相場のキャラクター変化をピクテがどのように理解しているかがうかがえて興味深い。
さて、気になる実質コストと純資産残高ですが、以下のような結果になりました(いずれも税込)。
信託報酬:0.961%
売買委託手数料:0.035%
有価証券取引税:0.051%
その他(保管・監査・その他)費用:0.104%
実質コスト合計:1.151%
純資産残高は6億9200万円(前期は1億8700万円)、マザーファンドの純資産残高は135億円(同133億円)でした。前期は変則決算ながら実質コストが1.312%でしたから、当期は実質コストが低下しています。売買高比率は1.29となり、前期の1.33から若干低下しています。やや落ち着いた運用となったことで実質コストもようやく"低コストアクティブファンド"らしい水準に近づいてきました。
アクティブファンドが参考指数に勝てるかどうかは少し長い目で見る必要があると思っています。というのも、アクティブ運用の銘柄選択というのは、安くなっている銘柄を"仕込む"、あるいは割高になっている銘柄を"手控える"ことが必要ですから、どうしてもインデックスを下回る期間が生じるわけです。なので、最低でも5~7年、可能ならば10年ぐらいのタームで評価する必要があるでしょう。私は低コストなアクティブファンドがもっと増えて欲しいと思っているので「iTrust世界株式」には頑張って欲しいと思います。
さて、「iTrust」シリーズは受益者専用サイト「iInfo」を通じて機関投資家向けレポートやデータ集を配信してくれるなど充実した情報提供が魅力です。当期も十分に楽しませてもらいました。ただ、あいかわらず月報や運用報告書の中身が薄味なのが気になる。こちらの方も、もう少し力を入れて欲しいものです。それができれば、もっと支持されるファンドになるのではないでしょうか。こちらの改善についても今後に期待したいと思います。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン