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2022年6月6日

インデックスファンドが国内最大ファンドになる日

 

既にいくつかのブログでも紹介されていますが、モーニングスターに興味深い記事が載っていました。インデックスファンドの「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が、国内最大の公募投信になりそうだとのことです。


文字通り、投信市場の大転換となる動きでしょう。同時に、インデックスファンドが国内最大ファンドとなるのは、ある意味で投信市場が正常化するのだともいえそうです。

記事にあるように、2022年5月末で純資産残高が最大の公募投信は米国株アクティブファンドの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」ですが、2位の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」がトップとの残高差で約5000億円まで迫っています。資金流入を見ると「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」が22年3月末に1兆8416億円まで残高を伸ばした後は足踏み状態になっているのに対して、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は5月も公募投信で最大の700億円超の資金流入がありました。このため22年末には「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」の純資産残高を上回り、国内最大の公募投信となる可能性が出てきました。

こうした状況に対してモーニングスターは「投信市場の大転換」と指摘しています。日本の投資信託は従来、販売会社が営業に力を入れたアクティブファンドが純資産残高を積み上げる傾向が強かった。ところが、ネット販売専用インデックスファンドが国内最大のファンドとなるということは、販売会社の営業努力ではなく個人投資家からの自発的な支持を得たファンドがトップに立つということです。これは投資信託の販売構造を大きく変える可能性があると同時に、ある意味で投信市場の正常化とも言えます。

そもそも、ファンドの特性上もインデックスファンドが最大ファンドとなるのは自然なことでした。インデックスファンドによって純資産残高が大きくなることは運用効率が高まることになりコスト低減効果などメリットしかありません。一方、アクティブファンドにとって純資産残高が大きいことは、メリットだけでなくデメリットもある。流動性の乏しい小型株への投資が難しくなるなど運用の機動力が低下するからです(アクティブファンドは、純資産残高が大きくなるにつれて運用成績が低迷しやすい傾向なのは、このためです)。

だから、超大型ファンドはインデックスファンドがその地位を占め、中小規模なブティック型アクティブファンドが機動力を生かした個性的な運用でインデックスを上回るリターンを目指すというのが、投信市場の本来の姿でしょう。その方がインデックスファンドとアクティブファンド双方にとって望ましい状況だと思います。日本の投信市場も、いよいよそういった当たり前の姿に向かいつつあるのだと思います。

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