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2021年12月29日

イージーオーダーのスーツは同じ店で3着は作らないと満足できる仕上がりにはならない

 

先日、イージーオーダーでスーツを新調したことを記事で紹介しました(スーツをイージーオーダーで作る理由)。ようやく仕立て上がったので受け取ってきました。格安イージーオーダー店で作っていますが、なかなかカッコよくできたと思います。やはりイージーオーダーのスーツは同じ見せて3着は作らないと満足のできる仕上がりにはなりません。

今回は、ネイビーのヘリンボーン柄の生地でスリーピースを作りました。ベストも襟付きにし、上着の着丈もいつもより少し長めにすることでクラシックなイメージを目指しました。なのでスラックスもワンタックで裾はダブル仕上げです。受け取りの際に試着しましたが、ほぼイメージ通りの仕上がりで非常に満足です。

ところで、よくイージーオーダーはカッコよく仕上がらない、あるいはイメージ通りにないという人がいます。このため既製スーツ最強説が生まれるのですが、これはオーダースーツを作る際にちょっとしたコツが必要だからです。それは、自分が作りたいスーツのイメージをしっかりと言語化し、さらに数値レベルでお店にしっかりと伝えることです。そして、それを実行するためには、やはり同じ店で3着ぐらい作る必要あります。

ちょっと実例を紹介しましょう。今回のスーツは同じ店で作った3着目です。1着目を作ったのは2年前で、その時はネイビーの無地でスリーピースを作りました。スラックスはノータックにして、ちょっと今風のデザインを狙いました。


このときはハウスモデルから上着の着丈を1センチ伸ばしました。この1センチが大きく、上着はほぼイメージ通りに。ただ、スラックスは想像していたよりもタイトで、しかも裾丈をノークッションにしたのですが、こころもち短いと感じました。。

そこで次の年に2着目を作ります。生地はダークブルーのシャドーストライプ柄。上着はダブルブレストを試してみました。


前回の印象を踏まえ、スラックスはワンタックにして、裾丈も1センチ伸ばしました。そのかわりに裾幅は1センチ絞って、スマートさを出すことを狙います。これが大成功。きれいにハーフクッションとなり、もも幅などにも余裕が生まれました。それでいて少しテーパードにしたので野暮ったさもありません。スラックスの満足度が大幅に上がりました。

こういう試行錯誤を経て、今回の3着目となります。スラックスは前回と同じワンタック。そして今回はスリーピースのベストを襟付き6つボタンにしてややクラシックなイメージを狙いました。このため上着の着丈もさらに1センチ伸ばしたわけです。これも大成功で、ほぼイメージ通りに仕上がりました。

このようにイージーオーダーとはいえ、オーダースーツというのは客の側が店のハウスモデルの特徴を把握しながら、細かい指示を出すことで自分のイメージ通りのデザインを作っていく作業が必要となります。そのためには、やはり同じ店で3着ぐらい作って、経験値を積む必要があるわけです(もちろん仮縫いがあるフルオーダーなら最初から満足できる仕上がりも可能でしょうが、価格はイージーオーダー3着分を軽く超えます)。

ずいぶん面倒くさいし、時間も手間もかかると思うでしょうが、こうした試行錯誤こそがオーダースーツを作る楽しさでもあります。「次はこうしよう、ああしよう」などと考えてしまい、お店からセールのDMなどが来ると、ついつい新しく作ってしまう。これこそスーツ好きが患う病なのです。

ただ問題が一つ。仕上がったスーツを受け取って家に帰ると、妻が「またスーツ買ったの?」というふうな眼で見てきます。しかし、これは服好きの人間全員が甘受すべき試練なのです。

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