テレビでは沢尻エリカ逮捕のニュースでもちきりです。あいかわらず日本でも麻薬汚染が深刻なのですが、これは芸能界に限ったは話ではなりません。投資の世界でも11月10日に有名トレーダー・KAZMAXこと吉澤和真容疑者が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されていました。
資産50億円トレーダー・KAZMAX、麻薬取締法違反の疑いで逮捕!「マジやばいのあるから来て」(文春オンライン)
FXや仮想通貨、そして会員制オンラインサロン運営で資産50億円を築いた挙句、ヤク中になって逮捕とは香ばしい限りです。こういう事例を見て改めて感じるのが、いくら巨額の資産を築いても、それだけでは意味がないということです。資産を築くことの価値は、やはり最後の“使い方”で決まるということでしょう。
KAZMAXも最初はFXや仮想通貨でそれなりに利益を上げていたのですから、やはり投資(投機)の才能があったことは間違いありません。そういった才能は一種のカリスマ性となりますから、多くの“信者”を集めてオンラインサロンで収益を上げるようになるというのも今風です。ただ、そのやり口も非常に問題のあるものだったようです。これも早くから報道されていました。
《金融庁も重大関心》資産50億円トレーダー・KAZMAX氏の手口を元側近が告発 サロン生を食い物に(文春オンライン)
信者たちを養分にする「サロン砲」は名前こそ現代風ですが、手法はじつに古典的。投資詐欺の世界は被害者がほとんど退場してしまうので、プレーヤーの間で被害経験の蓄積がほとんどなされません。このため古くからの仕手手法が少しだけ現代的なアレンジの下、それこそ古典芸能のように生き残るわけです。
ただ、それ以上に興味深かったのが資産50億円を築いた後のKAZMAXの生活のあり方です。記事からいくつか引用します。
「“サロン砲”騒動以降、付き合いのあった経営者や芸能関係者らも、KAZMAXと距離をとるようになっていきました。『金があれば、芸能人でも誰でも俺のために動く。俺にとっては端金だ』などと言って、仲間たちに豪奢な食事をふるまい、ラウンジやキャバクラでシャンパンを開けるといった生活を続けていましたが、みんなリスクをとってまで付き合いたいとは思わなかったのでしょう。元々、彼の横柄な態度に辟易していた人は多かった」
「薬物はKAZMAX本人がバーやクラブに持ち込んでいました。逮捕の1週間くらい前も、バーの個室でプラスチック袋に入った大量のコカインを『これかなり上質でやばい』と周囲に自慢していた。”健全派“の友人が付き合わなくなったため、ジャンキーの友人や女の子を『今日はマジやばいのあるから来て!』などと薬物で“釣って”遊んでいました」華やかに見え、じつにさみしい生活です。お金は増えているのに、友達はどんどん減っているわけですから。ちなみに逮捕時も「KAZMAXが(警察官に)声を掛けられた瞬間、友人らは全員その場から猛ダッシュで逃げていきました」というのは、ちょっとできすぎなくらい漫画的な風景です。
こうした事件は、金額の大小とは関係なく「資産を築くことの価値」とは何なのかという問いを投げかけてきます。いくらお金を持っていても、それでクスリを買ってヤク中になっているようではどうしようもない。それは「相場に勝っても、人生に負けている」ことになる。やはり、最後のお金を“どのように使うのか”によって資産形成の“価値”は決定されるということです。