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2019年11月24日

苦しかった2019年―ひふみ投信の第11期(2018年10月~19年9月)運用成績



サテライトポートフォリオで保有している「ひふみ投信」の第11期(2018年10月2日~2019年9月30日)運用報告書が交付されましたの読んでいきたい思います。第11期の「ひふみ投信」の騰落率は-14.3%、参考指数であるTOPIX(配当込み)は-10.4%でした。分配金は当期も無しです。2018年後半から19年前半まで世界的に厳しい相場環境となっていましたが、「ひふみ投信」もその影響が大きく受けた形です。10期まで5期連続で参考指数をアウトパフォームしていたのですが、第11期は久しぶりに大幅なアンダーパフォームに沈む苦しい運用となりました。

運用報告書は今回も期を相場のキャラクターや運用戦略の変化に合わせて便宜的に第Ⅰ期(2018年10月~18年12月)、第Ⅱ期(2019年1月~4月)、第Ⅲ期(19年5月~9月)に分けて分析しています。第Ⅰ期は米中関係の悪化や米国金利の逆イールド発生などで景気後退懸念が高まり、TOPIX(配当込み)の騰落率は-17.6%、「ひふみ投信」は-22.9%となります。ただ、このタイミングをチャンスととらえ、保有銘柄のうち大きく上昇していた銘柄を一部売却し、割安になった“地味で地道に成長する”ことが期待できる銘柄を買い増すなどポートフォリオの組み換えに取り組んだそうです。

この戦略が第Ⅱ期に成果を上げます。米国の利上げ観測が後退したことや米中貿易摩擦にも妥協の機運が見えてきたことなどから世界的に株価は反転上昇しました。「ひふみ投信」は引き続き保有銘柄のうち大きく上昇していた銘柄を一部売却し、割安になった“地味で地道に成長する”ことが期待できる銘柄を買い増すなどポートフォリオの組み換えを継続したことで、TOPIX(配当込み)の騰落率が+9.5%に対して「ひふみ投信」は+15.4%となるなど好調な運用結果を出します。

しかし、第Ⅲ期に入ると再び状況が一変します。トランプ米大統領が中国への追加関税を課すと発言したことから米中貿易摩擦への懸念が再燃し、株価も下落傾向に。その後は米国はじめ各国の金融緩和姿勢が強まったことなどで株価も上昇に転じます。とくに金利も上昇に転じたことでバリュー株が買い戻される展開となります。こうした中、TOPIX(配当込み)は-0.7%で踏みとどまったのですが、「ひふみ投信」はこれ追随できず、参考指数を大きくアンダーパフォームしています。このあたりに相場の先行きに関する若干の読み違いがあったのかもしれません。

さて、久しぶりに参考指数をアンダーパフォームしまったわけですが、そうなると気になるのは今後の運用方針です。運用報告書では以下の3つのポイントを上げていました。

1、米国はじめ各国とも金利を上げづらい状況となっていることから、低金利を前提として銘柄選択を行う。
2、米中対立の影響を受けにくい内需関連や“地味で地道に成長する”ことが期待できる銘柄に投資しつつ、米中対立で漁夫の利がありそうなあ企業を探す。また、半導体市況に底入れの兆しがあるので、今後も機動的に組み入れる。
3、IoTや自動化の恩恵を受ける企業にしっかりと投資する。

こうした戦略どれだけ成功するか気になるところです。また、運用報告書によると第11期から米国株に加えてASEAN株にも投資するなど外国株式への投資の幅を広げています。第11期末段階では香港株1銘柄とフィリピン株2銘柄を保有しているようです。個人的にもASEAN株には非常に注目しているので、今後の「ひふみ投信」によるASEAN株投資の動向は大いに気になるところです。久しぶりに苦しい結果となった第11期ですが、既に始まっている第12期での巻き返しに期待したいとおもいます。

最後に「ひふみ投信」の費用明細上の実質コストを確認しておきます。第11期の費用明細は以下のようになりました。

信託報酬:1.055%
売買委託手数料:0.094%
その他(保管・監査・その他)費用:0.003%
実質コスト合計:1.152%

第10期の実質コスト合計は1.246%でしたから、順調に低下しています。アクティブファンドでも純資産残高が増加すれば費用は低下するということがよくわかります。売買高比率は0・69となり、こちらも前期からほぼ半減しました。落ち着いた運用ができたとも言えますし、運用の機動力が落ちているとも言えます。アクティブファンドの場合、このあたりの評価は難しいでしょう。期末段階での保有銘柄数は245銘柄となり、期首の238銘柄から若干増加しています。ひふみマザーファンドの純資産残高は7371億円でした。

【ご参考】
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