ブルームバーグによると、欧州連合(EU)は大手銀行5行に対して不正な外国為替取引(FX)で共謀したとして、計10億7000万ユーロ(約1310億円)の制裁金を課したそうです。
シティやJPM、MUFGなど5行にEUが制裁金1310億円-FX共謀(ブルームバーグ)
制裁金を課された5行のほかに2行も共謀していたということですから、まったくふざけた話です。こういったプロによるイカサマが横行するから、FXに限らず短期売買による投資は個人投資家にとって不利なのだということを改めて感じさせます。
今回、FX不正で共謀していたとされるのは制裁金支払いに同意したシティグループ、 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ、JPモルガン・チェース、バークレイズ、三菱UFJフィナンシャルグループの5行、さらに不正を自主申告したことで制裁金を免れたUBSグループと制裁金支払いの合意に加わらなかったクレディ・スイス・グループを加えた7行。錚々たるメンバーがそろっています。不正の手口について記事では次のように報じています。
トレーダーらはオンラインのチャットルームで2つのカルテルを運営し、機密情報と取引戦略を伝え合い、そうした情報に基づいて売買していたと当局は論じた。じつにあからさまなイカサマ手法に呆れました。時間も情報量も、そして資金量も桁違いな大手金融機関にこれだけグルになってイカサマをされては個人投資家などひとたまりもありません。FXでは定期的に個人投資家が“狩られる”ような状況が発生するのですが、その背景にはこうした金融機関のプロが共謀したイカサマがあるのではないかと勘繰りたくなります。
こうしたことがあるから個人投資家は短期売買による投資よりも、長期投資を心掛けた方がよいという思いも強くなります。なぜかというと、短期売買だとこうしたプロによるイカサマに巻き込まれる危険性があるからです。一方、長期投資なら投資対象の価格はいずれ市場が判断する適正レベルに収斂していきますから、イカサマによる急激な価格変動も長期的にはノイズに過ぎなくなります。
いずれにしてもFXのような投機的な短期売買の世界はプロも加わっての“修羅の国”だというのは世界的な現実のようです。FXだけでなく仮想通貨のような新しく登場した市場にいたっては規制も未整備ですから、もっとひどい状況なのかもしれません。そう考えると、やはり短期売買による投機的な投資というのは、長期的な資産形成・運用の遥か彼岸だということでしょう。
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