サテライトポートフォリオで少しだけ保有しているピクテ・ジャパンの低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2024年10月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の2024年10月の騰落率は+4.24%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+7.11%でした。残念ながら10月は参考指数を大きくアンダーパフォームしています。
10月は月初こそ中東情勢悪化への懸念などから世界的に株価は下落しましたが、その後は米国の雇用統計が予想を上回り、景気後退懸念が後退したことでハイテク株を中心に上昇基調となっています。業種別では、コミュニケーション・サービス、金融、情報技術などが上昇した一方、生活必需品、素材、ヘルスケアなどが下落しています。
さて、米国はトランプ政権がスタートすることになりましたが、ピクテは株式市場への影響はそれほど大きくないと見ています。「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」11月号によると、「トランプ氏の勝利と共和党の議会掌握は、想定外の結果にはあたらないと考えます。すでに経験したことのある状況」であり、「減税、移民規制、化石燃料の開発促進、関税の引き上げ、規制緩和等が、8年前のように優先課題になる」と予想できるからです。
こうした中、ピクテは米国株をオーバーウェイト推奨に引き上げました。トランプ大統領によって減税など株式市場にとって追い風となる政策が実行される可能性があるからです。また、中国株もオーバーウェイト推奨に。9月に発表された金融緩和策が効果を上げると見ており、今後はさらなる景気対策も期待できるからです。
一方、これまで強気だった日本株は評価が低下し、ニュートラル推奨に引き下げられました。与党・自民党が衆議院選挙で過半数を割り込み、国政の優位を失ったことで政治リスクが高まっているからです。金融政策も引き締め局面にあり、経済成長にとって逆風となります。個人的には、やはり政局が混乱することで、一時的な人気取りを目的に“トンデモ経済政策”が実行されるのがいちばん怖い。悲しいかな日本の政界は、どういうわけか“教科書通りの経済政策”に対するコンセンサスが非常に弱いからです。これこそが日本の株式市場にとって最大の政治リスクでしょう。