サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2023年3月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の3月の騰落率は-0.01%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-0.43%でした。3月は参考指数をアウトパフォームしています。ここにきて欧米で金融不安が高まるなど不安定な市場の中で、ほぼ横ばいを維持しました。ただ、金融不安を背景にピクテはとくにハイイールド債券への警戒を呼び掛けています。
3月は金利上昇による債券価格下落をきっかけに米地銀、シリコンバレー銀行(SVB)が破綻し、欧州でもクレディ・スイスが経営危機となりUBSによって救済買収されるなど金融不安が高まりました。このため株価も不安定な状態で推移しました。各国の金融当局や中央銀行の迅速な対応によって危機が本格化することはありませんでしたが、依然として警戒感が漂っています。
ピクテは、「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポー「Barometer」4月号でも「銀行を巡る信用不安は緩和しつつも、難局は続く」と指摘しています。とくに警戒しているのがハイイールド債券。銀行の信用不安を受けてハイイールド債のイールド・スプレッド(国債との利回り差)は拡大していますが、まだデフォルトリスクを完全には織り込めていないと見ています。実際、SVBの破綻では劣後債が全損となりました。
株式だけでなく、しばらくは債券投資家にとっても不安定な経済情勢が続きそうです。