サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2023年2月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の2月の騰落率は+2.32%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+3.19%でした。ここのところ好調な運用が続いていましたが、2月は久しぶりに参考指数をアンダーパフォームしています。あいかわらず先行き不透明な市場環境が続いていますが、ピクテは新興国に対して非常にポジティブな見通しを示しています。
2月は米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が利上げのペースを落とすとの期待感が高まっており、株価も月初は上昇傾向にあったのですが、1月の消費者物価指数でインフレの根強さかが再確認されたことで利上げが長期化するとの見通しが強まり、株価は下落して終わりました。ただ、円安の影響で円ベースでは上昇しています。
インフレ抑制と景気減速への対応という二つの命題を抱えた金融当局は依然として難しい舵取りが要求されており、それが市場の方向感を見えにくくしていると言えそうです。「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」3月号でも、インフレはいずれ落ち着くにしても、景気の減速は避けられないというのがピクテの見通しです。このためポートフォリオの資産配分に関しても株式のアンダーウェイト、債券のオーバーウェイト、キャッシュはニュートラルを推奨しています。
そんな中で、株式のでオーバーウェイトを推奨しているのが中国と新興国。新興国は新型コロナウイルス感染拡大期にインフレ率が比較的抑制されていたため、域内の流動性環境がリスク資産を下支えするのに十分な状況になっていることに注目しています。また、中国の経済活動再開も新興国に好材料となり、さらに中国からの観光客の回復がアジア新興国の経済に大きな恩恵を及ぼすと見ています。
ピクテが予想する2023年の企業利益成長率は、米国がほぼ横ばい、ユーロ圏が約3%のマイナスと見ており、新興国の約11%像とは対照的です。「すべての道は新興国に通ず」とまで表現しており、かなりポジティブな見方です。私は新興国への投資が好きなので、大いに期待したいと思います。