アセットマネジメントOneが低コストインデックスファンドシリーズ「たわらノーロード」の8ファンドの信託報酬を4月7日付で引き下げると発表しました。
これにより5ファンドがカテゴリー最安値を更新します。今回のAM‐Oneの動きは、インデックスファンドの低コスト競争において大きな意義を持ちます。AM‐Oneは、自律的に信託報酬を引き下げる決断をしたからです。
信託報酬引き下げの内容は以下のようになっています。また、3月30日付で「たわらノーロードS&P500」も新規設定されます。
このうち「先進国株式」「新興国株式」「全世界株式」「日経225」「バランス(8資産均等型)」は三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」の信託報酬を下回り、「日経225」以外はカテゴリー最安値も更新しました。新規設定する「たわらノーロードS&P500」も「eMAXIS Slim」の信託報酬に並びます(日経225とS&P500の最安値は「PayPay投信インデックス」シリーズ)。
今回の信託報酬引き下げに関してAM‐Oneは「岸田首相が発表した「資産所得倍増プラン」等を受け、2024年以降、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充・恒久化が予定されているなど、「貯蓄から投資へ」の具体的な政策支援に対する期待が高まっています。AM-Oneでは、投資家の皆さまの資産形成への更なる貢献を目指し、「たわらノーロード」シリーズのインデックス型およびバランス型の計8ファンドを対象に、信託報酬率の引き下げを決定しました」と説明しています。2024年から始まる新NISAが、ふたたびインデックスファンドの低コスト競争を再燃させることになりそうです。
また、それ以上に今回のAM-Oneの動きには大きな意義があります。現在、インデックスファンドは三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」が圧倒的な支持を集めていますが、そこには問題もあります。それは、「eMAXIS Slim」は競合ファンドが信託報酬を引き下げた際に、それに追随する形でしか信託報酬を引き下げていないということです。言い換えると、自律的にではなく、つねに他律的にしかコストを引き下げていないのです。また、通常の「eMAXIS」シリーズの信託報酬を高止まりしたままにすることで、いわゆる“一物二価問題”を放置しているという批判もあります。
こうした「eMAXIS Slim」の姿勢に対して、既存ファンドの信託報酬を自律的に引き下げることで文字通り低コスト競争をリードしていたのがニッセイアセットマネジメントの「購入・換金手数料なし」シリーズでした。だからこそ、「購入・換金手数料なし」シリーズの功績は極めて大きかったのですが、そこに新たにAM-Oneの「たわらノーロード」シリーズが加わることになりました。「たわらノーロード」シリーズもまた、自律的に信託報酬を引き下げる決断をしたのです。この意義は極めて大きい。単純に信託報酬が安いということを超える価値があると思います。
AM-Oneには、ぜひ今回の行動を今後も継続して欲しいと思います。そうすれば、必ず投資家の評価を得ることができると思う。同じ信託報酬の引き下げでも、自律的であるか他律的であるかは大きな違いだからです。なぜなら、自律的な信託報酬の引き下げはファンドの規模拡大を通じて持続的な信託報酬引き下げが期待できるのに対して、他律的な信託報酬の引き下げは寡占の進展によって信託報酬の引き下げも終わる可能性があるからです。このことを個人投資家も真剣に考えるべきでしょう。その契機としても「たわらノーロード」の信託報酬引き下げには大きなインパクトがあるのです。
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