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2022年12月16日

もうすぐ“時代の転換点”を目撃するかも

 

モーニングスターに面白い記事が掲載されていました。


これはなかなか象徴的な出来事です。もしかしたら、私たちはもうすぐ“時代の転換点”を目撃するかもしれません。

記事によると、2022年12月14日現在、公募ファンド(ETF除く)で純資産残高ナンバーワンとなっているのが毎月分配型アクティブファンドの「アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信Dコース(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」で、純資産残高は1兆7900億円を超えています。

ところが、これに肉薄しているのが、米国株式インデックスファンドである「eMAXIS Slim米国株式(S&P500」」で、こちらの純資産残高は1兆6672億円。しかも毎月600億円超の純資金流入となっていることから、トップ逆転は時間の問題となっています。

これは投資信託業界における“時代の転換点”となるかもしれません。なぜなら、この二つのファンドの背景にある受益者の姿が、まさに個人投資家における旧世代と新世代を象徴しているからです。

これまで日本の投資信託の受益者の中心は高齢者でした。彼らは大手証券会社や銀行の窓口を通じてある程度まとまった資金でファンドを購入するスタイルが中心です。高齢者は長期的なファンドの成長よりも日々のキャッシュフローの改善を目的とした資産運用を求めるケースが多く、それが毎月分配型ファンドの隆盛につながりました。「アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信Dコース(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は、そういう受益者に支持されているファンドです。

これに対して「eMAXIS Slim米国株式(S&P500」」の受益者は、圧倒的に若者や現役世代です。また、購入方法もネット証券を通じての積立投資が主流。あくまで長期的なファンドの成長が目的となるため、コストの安さを追求したインデックスファンドが当然のように選ばれたわけです。

こうしたことを考えると、両ファンドによる純資産残高トップ交代は、投資信託の世界における受益者の世代交代を象徴していると言えそうです。徐々にですが、投資信託の受益者の主流が、高齢者から若者・現役世代へと移行しているわけです。そういう“時代の転換点”が、いままさに目の前で起こっているように感じます。

もっとも、この流れが今後も続くかどうかは分かりません。やはりモーニングスター記事には次のような指摘があります。
これから米国株価が一段安になるようなことがあると、積立投資を継続できるかどうかが怪しくなってくるだろう。積立投資を開始した時に考えていた「(株価が上がっても下がっても)30年、40年続ける」という気持ちを持ち続けることができるかということがポイントになる。「資産形成のためにファンドを使う」ということが、「つみたてNISA」の積立投資によって、ようやく根付き始めたところだ。せっかく一歩を踏み出した投資家が、投資を継続できるよう、今後の情報提供が重要になってくる。「下げ相場は初めて経験する」という投資家が少なくないだろうことから、「下げ相場における積立投資の効果」などについて改めて周知されることが望まれる。
こうしたことを日本の投資信託業界が実践できるかどうか。そこに、業界が時代の流れに寄り添おうとしているのか、それとも背を向けようとしているかが端的に表れるのだと思います。

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