モーニングスターに2012~2022年の主要資産カテゴリーのトータルリターンのランキングがどのように変化しているのかを紹介した記事が掲載されました。
国際分散投資をやっている人なら見慣れた図ですが、今回は主要8資産カテゴリーに加えて、8資産分散を加えた9カテゴリーでランキングをまとめているところが注目です。これを見れば、やはり分散投資は“強い”と改めて感じます。
この図を見て感じるのは、やはり“勝ち続ける資産クラスはない”ということ、ランキングの変動に規則性が見つからないということです。ただ面白いのは、8資産分散はつねに中位を確保していることでしょう。
ここに分散投資の“本当の強さ”が鮮明に表れています。ランキングの上位になることを「勝つ」、下位に沈むことを「負ける」と規定すると、8資産分散は「勝つ」ことはない。でも、「負ける」こともないわけです。そして投資の「勝ち負け」を「勝つこと」ではなく「負けないこと」だと考えれば、じつは8資産分散がいちばん「強い」ということになります。
勝ち続けることは「強さ」ですが、負けないことも「強さ」です。そういえば将棋の大山康晴十五世名人は死ぬまで順位戦A級クラスの地位を保持した最強名人ですが、その大山名人も「若いうちは誰でも強い。継続して強い人が本当に強い人」みたいなことを言っていました。一発屋を認めていなかったわけです。
長期投資は市場に居続けることが前提となりますから、過度に「負け」て退場しないようすることが最優先となります。だからこそ、長期投資は分散投資と組み合わせることに意義がある。分散投資はこそ「負けない」という“本当の強さ”を備えた投資手法だからです。