恒大集団のデフォルト危機や政府による規制強化への懸念から中国への投資に対する悲観論が強まっているのですが、意外なことに中国株に資金が注入するという事態が起こっているそうです。やはり「人の行く裏に道あり花の山」ということでしょうか。案外、中国株は今が買い時なのかもしれません。
ロイターによると、新興国株式ファンドへの資金流入額が過去5週間で137億ドルに達し、そのうち133億ドルが中国株ファンドに流入したそうです。
なんとも意外なデータですが、その理由もいかにも中国らしいと感じました。「中国株ファンドへの資金流入は、中国株式市場への国内の投資が強まるとの期待が一因」だとか。普通の人には意味が分からないと思うのですが、これこそ中国の投資家の特殊性を織り込んだ予想です。
現在、中国政府は不動産や理財商品、そして仮想通貨などへの投資を抑制しようとしています。このため中国人の投資家にとって「国内株式が最良の代替手段の一つになるだろう」という読みです。
なぜこういった読みが成り立つのか。通常、リスクオフのマインドが急激に高まると、投資家の資金は安全性を求めて通貨(現金)に逃避します。これが急激な信用収縮を引き起こし、経済が一段と冷え込むというのが一般的な動きです。
ところが中国人は自国通貨(人民元)をあまり信用していません。このためなんらかのリスク資産カテゴリーの状況が悪化すると、資金は別のリスク資産カテゴリーに移るケースが多い。少なくとも、なかなか現金には逃避しないのです。自国通貨を信用していないがゆえに、つねに現金以外の資産カテゴリーに資金が移動することで、新たなバブルを作り出します。
そうしたことを考えると、不動産、理財商品、そして仮想通貨への資金流入が抑制されれば、その資金は株式に流れ込まざるを得ないということになる。少なくとも、そういった期待があるからこそ、ここにきて中国株式への資金流入が活発なのでしょう。
もちろん、実際に今後どうなるのかは分かりません。もしかしたら今度こそ本当に中国バブルが崩壊するかもしれない。ただ、やはり最後は政府が救済するに違いないというスケベ心も投資家の間にあることは間違いなさそう。そういう考えに立っている人からすれば、中国株は今が買い時ということになります。
私個人としても、新興国インデックスファンドを通じて結構な額の中国株に投資しているので、ぜひ「人の行く裏に道あり花の山」という展開になって欲しいと願っているのでした。