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2021年7月15日

銘柄選択の効果を発揮できず―「iTrust世界株式」第5期運用報告書を読む

 

サテライトポートフォリオで少額ですが積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の第5期運用報告書(全体版)(2020年4月11日~2021年4月12日)が出ていたので、少し遅れましたが読んでいきたいと思います。ファンドの騰落率は+46.3%、参考指数であるMSCIワールド指数(ネット配当込み)の騰落率は+51.5%でした。分配金は見送りです。“コロナ・ショック”による下落からV字回復となる素晴らしい上昇ですが、残念ながら参考指数を大きくアンダーパフォームしています。前期まで3期連続で参考指数をアウトパフォームしていたのですが、相場全体が上昇する中でアクティブファンドの妙である銘柄選択の効果を発揮することができなかったと言えそうです。

期中の基準価額と参考指数の推移を見てみると、前半こそ参考指数を上回る月が多かったのですが、後半から徐々に大きくアンダーパフォームする月が増えています。市場全体の上げ幅が大きい時に、上手く追随することができませんでした。総じてアクティブファンドは市場全体が好調な時には、なかなか市場平均を上回れないケースが多いのですが、今期はその悪いパターンにハマってしまったと言えそうです。

期首と期末の組入上位10銘柄の変化を見ると、マイクロソフト、アルファベット、アップルの上位3銘柄は不動。まあ、このあたりは外せません。印象的なのは期初に医薬品セクターが4銘柄も上位にあったのですが、期末にはサムスン電子などコンピューター・周辺機器2銘柄、ASMLホールディングスなど半導体・半導体製造装1銘柄が新たに上位に顔を出しています。また、娯楽銘柄であるウォルト・ディズニーも上位10銘柄に加わりました。明らかに“アフター・コロナ”に向けた陣立てとなっています。今後、こうしたポートフォリオの組み換えが奏功するのか注目したいと思います。

純資産残高は33億7100万円(前期は17億2100万円)、マザーファンドの純資産残高は144億3700万円(同136億8700万円)でした。株価上昇分も含めて順調に増加しています。ただ、マザーファンドの増加が少ないことから、別のベビーファンドからの資金流出が起こっているようです。このあたりは気になるところです。実質コストは以下のようになりました。

信託報酬:0.984%
売買委託手数料:0.022%
有価証券取引税:0.013%
その他(保管・監査・その他)費用:0.092%
実質コスト合計:1.111%

前期の実質コストが1.127%でしたから、若干のコストダウンとなります。売買高比率は0.83となり、こちらも前期の0.89から若干低下しています。前期に続いて比較的落ち着いた運用となったことが分かります。

第5期は参考指数を大きくアンダーパフォームする残念な結果となりましたが、今後の巻き返しを期待したいと思います。また、「iTrust」シリーズは受益者専用サイト「iInfo」を通じて機関投資家向けレポートやデータ集を配信してくれるなど充実した情報発信も魅力。こちらも引き続き楽しみにしたいと思います。

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