世界的に新型コロナウイルス感染者の再拡大が続き、日本でもPCR検査で陽性者数が増えています。そんな中、マイクロソフトの創業者で現在は慈善活動家として活躍しているビル・ゲイツがマスク着用に反発する人々に対して「あれはヌーディスト(裸体主義者)みたいなもの?」と疑問を投げかけていました。
「あれはヌーディストみたいなもの?」ビル・ゲイツ、マスク着用に抵抗する人々を理解できず(BUSINESS INSIDER)
今回の発言は、ゲイツがコメディアン・女優のラシダ・ジョーンズとの始めたポッドキャスト・シリーズ『Bill Gates and Rashida Jones Ask Big Questions』第1話での発言だそうです。確かにマスクの有効性はかなり科学的なエビデンスが蓄積されてきたので、いまさらそこに政治的ステートメントを持ち込んで議論するのはバカバカしいということでしょう。
「あれはヌーディスト(裸体主義者)みたいなもの? パンツを履けと言われて、アメリカ人は誰も —— またはごくわずかな人しか —— それがひどいことだとは言わないだろう」
確かに、いまやマスクは下着のようなものになっているわけです。すると、「マスクをしない自由」を主張する人は、「人間には裸で暮らす自由があるのだ」と言ってフルチンで路上に飛び出す人と同じ扱いを受けても仕方がない。まあ、ストリートキングが現れれば、普通の人は理解できないというわけです。
そういえば先日、日本に滞在していた英国のジャーナリストが久しぶりに帰国したら、ヨーロッパ人のマスクの付け方がなってないと衝撃を受けている記事を読みました。日本を含めたアジアの国々は、とりあえずマスクした上で政府の新型コロナ対策に文句を言ったり議論したりしているのに、欧米はマスクをする前に議論をしている。やっぱり順序が間違っていたのではないかと自問自答していました。
結局、新型コロナに限らず感染症への対策は、こまめに指先消毒をする、マスクをする、大声で会話しないといった地道な対策しかないわけです。そういった地道な対策の科学的な効果を冷静に理解できるだけに明晰さ、科学的な認識力の有無が問われているのでしょう。政治的ステートメントに関する議論は、科学的認識をクリアした上でやるべきです。なぜなら、科学的認識を欠いた政治議論は魔女狩り裁判にしかならないからです。