サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2020年1月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の1月の騰落率は-0.32%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-0.07%でした。前月は参考指数を大幅にアウトパフォームしていたのですが、今月は若干のアンダーパフォームとなりました。やはり現在の最大の関心事は新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりです。これが世界経済にどの程度の影響を与えるのかまったく読めません。このためピクテも防御的な投資姿勢を強めることを考えているようです。
1月は米国とイランの対立懸念が早期に後退したことや米中貿易協議の第1段階合意が署名に至ったことなどから中旬にかけて上昇基調となっていました。ところがこの流れを一変させたのが新型コロナウイルスの世界的な感染拡大です。これで株式市場のマインドが一気に悪化してしましました。今後、どれだけの影響が出てくるのか、まったく読めない展開が続いています。
この問題に関して「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」2月号も大きくスペースを割いて記述しています。「冬場に流行するインフルエンザ・ウイルスの新しい変異種に過ぎなかったと判明する可能性がある一方で、極めて悪性のウイルスである可能性も否めず」として、警戒感を強めました。
また、2003年に中国・広東省から流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)とも比較しています。「SARSの発生当初は、高い致死率と中国経済への短期的な打撃が懸念されたこと
から、金融市場は強い初期反応を示して急落しましたが、感染が短期間のうちに収束したことから、市場は大幅な上昇に転じ、年間を通してみるとネットの影響は殆どありませんでした。今回の新型コロナウイルスがSARSの場合と同様の展開となるならば、新興国市場の先行きは明るさを増すかもしれません」と希望的観測を示す一方、「新型コロナウイルスは致死率が相対的に低いように思われる一方で、感染の阻止はより困難なように見受けられます。また、極めて重要なことは、世界経済に占める中国経済の割合が2003年の4倍に拡大していることです」とも指摘し、問題の深刻さを示唆しました。
このためピクテは株式の投資評価はニュートラル(ベンチマークと同じ投資比率)を維持しつつ、(景気変動の影響を受け難い)ディフェンシブ性の高い業種に注目しています。新型コロナウイルスの懸念が高まることで割高なバリュエーションを正当化するのが一段と難しくなるからです。とくにピクテが警鐘を鳴らしているのが米国株。ほぼすべての指標で割高水準となっているからです。一方、日本株と英国株は引き続きファンダメンタルに対して割安水準にあると指摘します。
ただ、日本も新型コロナウイルスの感染者がかなり増加していますから、はたしてどこまで強気になっていいものか悩みどころでしょう。いずれにしても新型コロナウイルス問題が今後の株式市場に大きな影響を及ぼすことはまた以外なさそうです。
じつは私は今、シンガポールでこの記事を書いています。これから1週間、インドネシアとマレーシアに仕事で出張なのです。東南アジアでも新型コロナウイルス問題が大きくなっていますし、中国経済の影響も大きい地域でもあります。はたして現地では、どのような影響が出ているのか。あるいは海外から見て日本がどのように見えているのか探ってみようと思います。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券やカブドットコム証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン