個人投資家の間でも根強い人気があるのが不動産投資です。実物不動産への投資は大変だけれども、REIT(不動産投資信託)を使えば少額からでも簡単に投資できるようになりました。そうなると、不動産への投資は実物投資が良いのかREITへの投資が良いのかという議論が定期的に起こります。これに関して。カン・チュンドさんが非常に重要なポイントを指摘しているので紹介したいと思います。
ニッセイグローバルリートインデックスファンドで、アメリカのREITを練習してみる(カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!)
個人投資家にとってREITへの投資には、実物不動産にはない魅力があることがよくわかります。
カンさんは、ニッセイアセットマネジメントの「<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックス」を例に挙げてREITの投資対象を細かく分析しています。「<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックス」の保有銘柄数は現在315銘柄ですが、これは315のREIT法人に投資しているということであり、それぞれのREIT法人がやはり多数の不動産物件を抱えています。つまり、REITへの投資というのは分散が非常に効いている。これは個人投資家レベルでは分散が難しい実物不動産投資との大きな違いです。
さらに重要なのが分散の中身です。その「業態」がじつに多様なのです。カンさんは「<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックス」の保有上位10銘柄について業態を細かく紹介してくれてれていますが、それこそ「物流施設」「ショッピングモール」「小規模倉庫」「老人ホーム・病院・ヘルスケア施設」「住居」「データセンター」と多種多様。これが非常に重要なポイントです。カンさんは次のように指摘しています。
不動産をさまざまな「業態別」で捉えることはけっこう重要です。まさにREIT投資の最大の魅力は住居用以外の不動産にも簡単に投資できることなのです。個人投資家レベルでは、それこそ実物不動産への投資では不可能な芸当です。
たとえば個人が実物の不動産に投資を行うと実質「居住用の」不動産しか買えませんから。
なぜ不動産への投資で「業態」を考えることが重要なのか。これは不動産投資をしている人の中でもあまり理解していない人がいるのですが、じつは不動産というのはその土地自体に価値はありません。価値はつねに土地を何に使うのかという“利用価値”でしかないのです。だから利用価値が低下すると不動産は容易に“負動産”に転じます。そして不動産の利用価値は住居用に限りません。あるいは住居用よりも商業用や工業用の方が大きな利用価値を生み出す可能性があるのです。
この点を考えると、個人投資家でも住居用以外の不動産に簡単に投資できるREITは非常に魅力的です。例えば新興国などに行くと、それこそ巨大なショッピングモールが次々と建設されたりします。先進国でもオフィスビルの建て替えなど再開発がつねに行われています。日本でも住居用不動産の先行きに関しては悲観的な見方が多いですが商業用や工業用はどうなのか。まだまだ不動産は様々な“利用価値”を生み出してくれるかもしれません。
私はここ数年、なぜか不動産に関する興味を失っていて、インデックス投資でもポートフォリオにもあまりREITを組み入れていませんでした。個人型確定拠出年金(iDeCo)で先進国REITインデックスファンドを少額購入しているだけです。ところが最近、ちょっとした遊び心から再びREITインデックスファンドを少しだけ購入しようかと思い始めたのです。そんな時、カンさんのブログを読んでとても面白かった。REITの魅力を再確認できたからです。
そしてREITインデックスファンドとしてカンさんが例に挙げた「<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックス」は非常に魅力的です。なぜならベンチマークが「S&Pグローバルリート指数」(除く日本、配当込み)であり、先進国(日本除く)だけでなく新興国のREITにも投資できるからです。しかも信託報酬も低廉。これはいろいろと使えそうな気がしてきました。