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2018年11月9日
迷いの中で大幅アンダーパフォーム―ひふみ投信の2018年10月の運用成績
「ひふみ投信」の2018年10月次運用報告書が出ましたので定例ウオッチです。10月で「ひふみ投信」は10周年を迎えたのですが、皮肉なことに10月は過去最悪の運用成績となってしまいました。2018年10月の「ひふみ投信」の騰落率は-12.2%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は-9.4%となり、参考指数を大幅にアンダーパフォームしています。純資産残高は10月31日段階で1324億円(前月は1488億円)、ひふみマザーファンドの純資産残高は7402億円(前月は8392億円)となりました。保有資産の評価額以上に純資産残高が減少していますから、ある程度の資金流出も起こっています。相場のキャラクターが変化しているようであり、ファンドも受益者もともに迷いの中にあるといえそうです。
10月は比較的落ち着いた状態で始まったのですが、米国の金利急騰を契機として、高水準が続いていた米国株での手仕舞い売りが相次ぐ展開となりました。これが世界に波及し、世界同時株安の様相を呈します。特にこれまで好調だったグロース株や小型株ほど激しく売り込まれる展開となります。このためグロース株や小型株の保有比率が高かった「ひふみ投信」は、市場平均以上に基準価額が下落することになります。
こうした状況に対して運用責任者の藤野英人さんは「グロース株からバリュー株への巻き戻し」「小型株から大型株への巻き戻し」が起こっていると指摘しています。ただ問題は、こうした変化が一時的なものなのか、あるいは根本的に相場のキャラクターが変化したからなのかということです。この点に関して、藤野さんもまだ確信が持てないようです。ある程度はバリュー株や大型株のウエートを引き上げるとしつつも、根本的にポートフォリオを入れ替えるような方向転換には踏み切れないよう。今月の「ひふみアカデミー」の様子が配信されていますが、いつになく詳細な説明が行われており、やはりある種の迷いも率直に語っているように感じられました。
最近の「ひふみ投信」の特徴である外国株式への投資でも変化が見られます。10月末段階での保有銘柄のウエート上位を見ると、これまで登場していたAmazonやVISA、Facebookなどが姿を消しています。やはり「ひふみアカデミー」で述べられていますが、他の海外株への分散を進めているとのことです。また、日本株も含めて5G関連銘柄への投資を進めているとか。このあたりも含めて試行錯誤が続いているような気がします。
そしてもうひとつ指摘しなければならないことがあります。これはファンド側の人間は決して口に出せないことですが、「ひふみ投信」はこの1、2年で純資産残高が急増し、受益者の数も爆発的に増加しました。これによって運用戦略も微妙に変化してきたわけですが、同時に受益者の質もまた変化しているのは間違いないでしょう。よくアクティブファンドが批判される際に投げかけられる言葉に「ファンドが変質した」という言い方があります。しかし多くの場合、受益者もまた変質しているのです。だからアクティブファンドを評価する場合は、何が変化していなくて、何が変化しているのかを見極めることが必要になる。現在の厳しい相場環境の中で「ひふみ投信」の真価が問われているわけですが、同時に受益者の「意識」もまた試されているのです。
さて、月次運用報告書に先立って発表された中間レポート恒例の組入れ銘柄紹介です。今回は、リクルート(6098)でした。知る人ぞ知る求人広告・人材派遣・紹介の大手です。人手不足や働き方改革などの動きを視野に入れた、非常にわかりやすい銘柄選択に思えました。単純な発想だけど、こういった単純な発想で投資銘柄を選ぶというのは意外と難しい。投資家は裏読みが大好きで天邪鬼な人が多いですから。そう考えると、なかなか面白い選択に感じます。
【ご参考】
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