私も少しだけ資金を投じているレオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」ですが、「カンブリア宮殿」で取り上げられた効果もあって純資産残高が急増しています。現在、「ひふみ投信」「ひふみプラス」「ひふみ年金」のマザーファンドの純資産残高が2000億円を超えたようです。こうなると、いよいよ運用の在り方が変わる可能性があるのですが、その点に関して最高運用責任者である藤野英人氏が松井証券のインタビューで気になる発言をしています。
運用のプロに聞く「ひふみプラス」上級者編(松井証券)
「ひふみ」は従来、中小型株への投資を得意としてきましたが、次は「ポストIPO」と「再生」がキーワードとなるのでしょうか。
「ひふみ」シリーズは従来、中小型株への投資で成果を上げてきたのですが、純資産残高が増加するにつれてファンドの機動力が低下し、流動性に劣る中小型株への投資が難しくなるというのは以前から指摘されてきたことでした。一般に純資産が3000億円を超えると日本株ファンドの成績が低迷するという問題です。この点については藤野氏も早くからファンドの課題として指摘してきました。現在、ひふみマザーファンドの純資産残高が2000億円を超えたことで、いよいよ具体的な対策に迫られるようになったと言えます。
これに対して、藤野氏は松井証券とのインタビューの中で興味深い発言をしました。
過去に3,000億円以上の純資産残高を集めた日本株アクティブ投信は、その後にことごとく苦戦を強いられてきたのも確かです。増えたお金にこれまで同様の運用スタイルで真面目に対応しようとすると行き詰まってしまうかもしれません。私自身も、「カンブリア宮殿」出演後に純資産残高が急増したのを目の当たりにして、「どうやって対応すべきか……」と腕組みしました。ですが、そんなときに思い出したのが、同番組の司会者である村上龍さんの言葉です。彼は私に、「ひふみ」がいいのは信頼と希望があるからだとおっしゃいました。受益者はこれをどのように理解するべきでしょうか。これはもしかしたら、一種のアクティビスト宣言かもしれません。つまり、有望な経営資源を持ちながら経営上の問題などを抱えた大企業の株式を保有することで、その企業の経営者と対話し、改革を促すことで企業価値、ひいては株価の引き上げを狙うということです。
それがヒントとなって、私たちの投信が次に進むべき道が見えてきました。私たちの投資先選びはずっと「成長」にフォーカスしてきましたし、日本でもベンチャーキャピタルが存在感を高めていますが、ポストIPO(上場直後の企業)への投資についてはまだまだこれからも余地があります。また、今後の日本の大企業の中には、東芝のように成長が期待できる分野を持っていながら構造的な問題によって危機に陥る企業が増えてくるでしょう。有望な分野については「再生」を促すための資金提供もしていきたい。そちらにも目を向けていけば、たとえ1兆円の純資産残高を集めても資金が足りないほどです。だから、私たちは日本の「再生」と「成長」を応援する基幹ファンドをめざしていこうと考えています。
いずれにしても「ひふみ」の運用スタイルが今後、大きく変わる予感がします。だとするなら、現在の受益者に対して、より詳細な説明が必要でしょう。アクティブファンドの受益者というのは、ファンドの運営スタイルに納得も得心もして資金を投じているわけですから。引き続き藤野氏の発信に注目したいと思います。
【ご参考】
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