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2017年3月5日
テレビで紹介されてぐらいですぐに飛びついてちゃダメだよ―「ひふみプラス」に設定来最高の107億円流入
モーニングスターによると、2017年2月の国内追加型株式投信(ETF除く)の資金フローは1974億円の純資金流入となり、4カ月ぶりに流入超過に転じたそうです。流入を牽引したのがAI関連のテーマ型投信だそうで「いやはや」としか言えません。さらに興味深いのが、純資金流出額で「国内株式型」が1607億円と最大となる中で「ひふみプラス」が設定来最高となる107億円の資金流入になったということです。
国際株式は新規設定のAI関連に2,600億円以上流入、国内株式は「ひふみ」がテレビで人気化?-2017年2月推計資金流出入(モーニングスター)
これもなんだかなぁと思ってしまう。私は「ひふみ投信」の受益者ですが、やっぱりテレビで取り上げられたぐらいで、そのアクティブファンドに飛びついているようではダメだと思う。アクティブファンドへ投資するなら、ファンドに対するもっと踏み込んだ理解が不可欠だと思うのです。
インデックスファンドと異なり、アクティブファンドへの投資というのはとても難しいものです。なにしろアクティブファンドの大半がインデックスを上回るリターンを継続的にあげることができていないというのは過去のデータからはっきりしているわけですから。単純に儲けたいという考えだけでは、どうしても裏切られることが多い。それだけにアクティブファンドに投資する場合は、ファンドの在り方や運用哲学に対して明確なコミットメントがないと受益者として寂しい思いをすることが多いのです。以前に山崎元さんが、アクティブファンドへの投資は「関取のタニマチになるようなもの」と指摘していましたが、これはまったくその通りです。
とくに「ひふみ」シリーズ(「ひふみ投信」「ひふみプラス」「ひふみ年金」)のような個性派アクティブファンドというのは、良くも悪くもファンドマネーの個性によって運用が行われています。だから「ひふみ」の場合、ファンドマネージャーである藤野英人さんの運用哲学や、そのほか諸々についての考え方にどれだけ賛同できるかで投資するかどうかを判断するべきです。
実際に私の場合、たまたま草食投資隊セミナー後の懇親会で藤野さんの隣に座ることがあり、そこでかなり突っ込んだ意見交換をしたことが「ひふみ投信」を購入しようと考えたきっかけでした。さらに藤野さんの著書を何冊も読んで、そこでもいろいろと思うところがあって初めて購入に踏み切りました。証券口座で簡単に買える「ひふみプラス」ではなく、わざわざ口座開設までして直販の「ひふみ投信」を買っているのも、この方が藤野さんはじめレオス・キャピタルワークスのスタッフとの対話の機会が多いからです。
アクティブファンドへの投資というのは、それぐらいファンドとファンドマネージャーに対する踏み込んだ理解が必要だと思う。ちょっとテレビで取り上げられたぐらいで飛びついているようでは、恐らく将来的に残念な思いをするケースが多いのでは。残念な思いをするだけならまだしも、今度はファンドを批判したりする人も出てくる。でも、運用の在り方が大きく変わったりしない限り、批判すべきはファンドやファンドマネージャーではなく、自分の理解不足や見る眼の無さでしょう。
だから、いま「ひふみ」に関心のある人は、すぐに飛びつくのではなく、ファンドと藤野さんの考え方についてしっかりと研究して欲しい。その上で納得も得心もできてから、初めてファンドを購入するかどうかを決めて欲しい。実際に藤野さんと話をする機会がそうそうあるわけではありませんから、少なくとも著書を何冊か読んで検討するべきです。そこで、いくつか紹介しておきます。
藤野さんの著書は沢山ありますが、やはり経済や投資全般についての根本的な考え方がわかる本としては『投資家が「お金」よりも大切にしていること』がおススメです。ここに書かれていることは一種の“きれいごと”ですが、そういう“きれいごと”を本気で信じているところに「ひふみ」の魅力があるからです。
「ひふみ」の銘柄選択には一種の社会性があるのですが、そういった社会性が藤野さんの発想の中にも明瞭に現れていることが分かるのが『藤野さん、「投資」ってなにが面白いんですか?』。この本についてはブログでも詳しく論じました。
『藤野さん、「投資」ってなにが面白いんですか?』-投資技術論を超えた社会認識のレッスン
「ひふみ」は主に日本株に投資するファンドですが、はたして日本株に将来性があるのかというのは気になるところでしょう。しかし、すでに日本株を取り巻くルールが大きく変わっているということを指摘しているのが『日本株は、バブルではない―――投資家が知っておくべき「伊藤レポート」の衝撃』。これも私がふだん感じていることをズバリと指摘しているので、やはりブログで紹介しました。
『日本株は、バブルではない』-知らないところで世の中のルールが変わった
そのほか、『投資バカの思考法』『ヤンキーの虎』なども非常に面白いです。こういった本を読んで、ますます「ひふみ」や藤野さんのことが気になるようになれば、ようやく「ひふみ」を買う準備ができたと言えるでしょう。それがファンドやファンドマネージャーに対して踏み込んだ理解をするということであり、ファンドに対するコミットメントの前提条件となるのです。
【関連記事】
藤野英人氏のリベラリズム
【ご参考】
ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます。⇒ひふみ投信
ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する「ひふみプラス」はSBI証券 、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。
また、ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する確定拠出年金専用ファンド「ひふみ年金」がSBI証券、イオン銀行、松井証券、マネックス証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)プランでラインアップされています。SBI証券、イオン銀行、松井証券、マネックス証券のiDeCoはいずれも運営管理手数料が無料であり、低コストなインデックスファンドをそろえた商品ラインアップも素晴らしく、iDeCoの選択肢として最有力です。こちらもネットから無料で簡単に資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン、イオン銀行確定拠出年金プラン、松井証券確定拠出年金プラン、マネックス証券確定拠出年金プラン