ひふみ投信の2016年12月次運用報告書が出たので定例ウオッチです。ひふみ投信の2016年12月の騰落率は+3.6%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は+3.5%でした。ほぼ参考指数に追随すながら、わずかですがアウトパフォームしています。昨年11月以来、相場のキャラクターが一変したことでひふみ投信もポートフォリオの大幅な入れ替えを進めていますが、ここにきて成果が出はじめたと言えそうです。12月30日段階での純資産残高は363億円(前月は347.6億円)、受益権総口数は10,136,873,864(前月は10,062,292,456口)となり、こちらも引き続き順調に拡大しています。
12月も引き続き相場が強い状態が続いていました。ただ、これは“トランプ・ラリー”が理由というわけではなく、ひふみ投信では米国の景気自体が回復傾向にあるからだと見ています。米国景気の堅調と円安に支えられて日本株も上昇を続けている構図です。月後半には、大型株を中心にやや上げに一服も出てきましたが、そのかわりに中小型株のパフォーマンスが好転したことも、ひふみ投信には追い風になったようです。
こうした中、ひふみ投信はポートフォリオの大幅な組み換えを実施ています。大型株やバリュー株のウエートを引き上げながら、小型バリュー株にも目配を忘れていません。実際に12月30日段階での組み入れ上位銘柄を見ると、荏原製作所、TDKといった銘柄がある一方で、メガチップス、山一電機、ライク、アルバック、TOWA、東京応化工業、フィックスターズといった、いかにも“ひふみ投信らしい”渋い銘柄が並びました。全般的に半導体関係が多く、引き続き半導体関連セクターには強気。また、11月末には組み入れ上位に顔を出していた三菱重工や日本電産、三井住友フィナンシャルグループの名前が姿を消していることも、なかなか機敏な動きに思えました。
こうしたポートフォリオの入れ替えに一定の成果が出ているわけですが、最高運用責任者である藤野英人社長は今後の運用に関して次のように指摘しています。
新年度の見通しについては株式市場全体が上昇するのではなく、よい会社は上昇し 悪い会社は売られるという基本に忠実な相場環境に戻っていくものと考えています。さすがにすべての銘柄が上昇するようなユーフォリアな相場というのは終わりに近づいているということ。逆に今後は銘柄間の優劣が明確になるとの読みです。そういう相場のキャラクターこそ、アクティブファンドが真価を発揮できる局面です。どんな銘柄でも上昇するような相場ではインデックス運用が圧倒的に強いのですが、銘柄による優劣が鮮明になる展開となれば銘柄選択の結果が運用成績を左右しますから。その意味でアクティブファンドの真価をどこまで発揮できるかに期待したいと思います。
そのような中で注目されるのは着実に業績を伸ばし利益を上げていく優良企業です。
さて、月次運用報告書に先立って発表された中間レポート恒例の組入れ銘柄紹介です。今回はメガチップス(6785)でした。システムLSI(大規模集積回路)の設計・開発を行っている企業です。日本のエレキ業界では珍しく自社工場を持たずに研究開発に特化する「ファブレス経営」を特徴とする会社だとか。直近の業績は海外企業買収によるのれん償却で減益となっていますが、今後も自動車電装化やIoTの流れから業容拡大が期待できるというストーリー。実際にどうなるかは別にして、いまのご時世、あえて積極投資を進める企業は個人的にも好感が持てるので、なかなか面白い銘柄選択だと感じました。ぜひ頑張って欲しいところです。
【ご参考】
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