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2024年12月24日

「良いトランプ」と「悪いトランプ」―「iTrust世界株式」の2024年11月の運用成績

 

サテライトポートフォリオで少しだけ保有しているピクテ・ジャパンの低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2024年11月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の2024年11月の騰落率は-2.29%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+0.42%でした。残念ながら11月も参考指数を大きくアンダーパフォームしています。

11月は、米国のトランプ次期政権による金融緩和期待などから米国株は上昇基調で推移しました。業種別では、一般消費財・サービス、金融などが大きく上昇しましたが、素材、ヘルスケア は下落しています。また、やや円高傾向に振れたことで円換算での基準価額は株価の上昇を相殺した形となっています。

さて、市場の関心は米国のトランプ次期政権の政策へと移っているわけですが、「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」12月号には「良いトランプ」と「悪いトランプ」という面白い表現がありました。「良いトランプ」とは、減税や規制緩和など株式市場にとって好材料となる公約を掲げているトランプ氏であり、「悪いトランプ」とは中国などへの関税引き上げなど株式市場に悪材料となる政策を掲げるトランプ氏です。

現在の株式市場はおおむね「良いトランプ」シナリオを織り込んでいるというのがピクテの分析ですが、「悪いトランプ」が顕在化した場合、米国のインフレ率はさらに高まり、世界経済に悪影響を与えると指摘しています。ちなみに、関税引き上げの実行がリセッションを引き起こす可能性は15%、財政支出拡大による財政赤字拡大でインフレ率が高騰する可能性を25%と、ともに具体的な確率を挙げているのが面白い。その上で、「生起確率を40%とみるベースシナリオの下では、実行される公約が一部に留まるとみています」というのが結局のところのピクテの見立てとなります。

いずれにしても当面はトランプ次期政権の経済政策に振り回される相場となりそうです。その意味できたる2025年も難しい投資環境が続きそうです。

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