「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2023」の結果発表・表彰式が1月20日に開催されました。新型コロナウイルス禍もようやく収束し、久しぶりのリアル&オンラインのハイブリッド開催となっています。結果をふまえ、今回も感じたことをメモしておきたいと思います。いちばん感じたことは、いまやインデックスファンドは「商品」ではなく「指数」が選ばれる時代に入ったのだということです。
今回の「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022」の結果は以下のようになりました。
1位 eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
2位 <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
3位 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
4位 バンガード・ トータル・ワールド・ストックETF(VT)
5位 eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
6位 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
7位 結い 2101
8位 たわらノーロード 先進国株式
9位 eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
10位 ひふみ投信
1位と2位は4年連続、3位も2年連続で同じ商品が選ばれています。これだけ同一の商品が連続でトップ3を独占するというのは、既にインデックスファンドとしての競争で“勝負あった”状態になっていると考えてよさそうです。そもそもインデックスファンドは規模の経済が働く商品のため、どうしても特定のファンドによる独占・寡占になりやすいのですが、今回上位を占めた3ファンドは、いずれも各指数に投資するインデックスファンドとして圧倒的な地位を築いているということ。競合ファンドがこの牙城を崩すのは、なかなか難しい段階に入ったと言えそうです。
3ファンドがこうした地位を築いたのは、インデックスファンドとしての安定した品質を維持してきたことに加え、やはりこれまでの信託報酬を継続的に引き下げてきた実績が評価されていることは、どれだけ強調してもし過ぎることはありません。やはりインデックスファンドにとってコストの低さは最大の付加価値だからです。
一方、3ファンドの順位を見て感じるのは、インデックスファンドが投資対象とする指数の人気でです。やはり現在は全世界株式インデックスが圧倒的な人気になっていることが(4位にVTがランクインしていることも含めて)鮮明になりました。これに先進国株式(日本除く)インデックスと米国株式インデックスが続く形です。
つまり、日本のインデックスファンドの品質が向上したことで商品の優劣がほぼ無意味になった現在、ファンドの人気はそのまま投資対象となる指数の人気を示しているということです。いまや商品ではなく、投資家は純粋にどの指数に投資するのかを選択する時代になっているわけです。これは日本の投資環境が良い方向に成熟しているしるしだと思います。
では、全世界株式インデックスと先進国株式(日本除く)インデックス、そして米国株式インデックスという指数の優劣はあるのでしょうか。それはありません。個人投資家がそれぞれ自分の投資スタイルによって選択すればいいのです。1本で全世界の株式に投資したい人は全世界株式インデックスファンド選べば間違いない。私のように日本株は個別株を保有しているのでインデックス投資は日本を除く先進国に投資したいといった場合は先進国株式(日本除く)インデックスファンドが選択肢の最有力になりまう。「世界経済≒米国経済」だと考える人は米国株式インデックスに投資するのも立派な見識です。
そして、いずれの選択でも低コストで安定した運用をが期待でき、持続的に信託報酬を引き下げた実績のあるファンドが日本には用意されている。今回のFOY2023では、そういったファンドがどれなのかが一段と鮮明になったと言えるでしょう。
最後に、久しぶりにリアルでFOYが開催されたことは感慨深いことだと思います。あらためて運営委員会の皆さんには、心の底から「ご苦労様」と言いたいと思います。