年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年度第3四半期(10~12月)運用状況が発表されましたので定例ウオッチです。10~12月の期間収益率は+6.29%、帳簿上の運用益は+10兆3528億円でした。市場運用開始来の収益率は年率+3.37%となり、運用資産額は177兆7030億円と四半期ベースで過去最高を更新しました。
2020年度第3四半期運用状況(速報)(GPIF)
運用が好調だとメディアの注目度が低いのは相変わらずですが、やはり期間収益率+6%超で運用益10兆円以上とは、とんでもない数字です。“コロナ・ショック”から“コロナ・バブル”へと向かう中、いかに最近の市場が好調だったのかをうかが分かります。そして、それ以上に感じるのは、やはり“国際分散投資は強い”ということです。
2020年10~12月は世界的に新型コロナウイルスの感染が再拡大する一方で、欧米ではワクチン接種も始まり、経済活動正常化への期待が高まりました。各国による景気対策や金融緩和も継続されていることで、国内外とも株式が大きく上昇しています。
こうした追い風をGPIFの運用も大きく受けました。資産カテゴリー別に見ても、国内債券、と外国債券が微増もしくは横ばいとなるのに対し、国内株式と外国株式いずれも10%を超える大幅なプラスリターンとなっています。
GPIFの運用は長期投資のお手本ですが、改めて感じたのは国際分散投資の強さです。現在、GPIFの基本ポートフォリオは国内債券、外国債券、国内株式、外国株式それぞれ25%ずつの配分となっていますが、こうしたケレン味のない資産構成が現在の好調な運用を実現していると言えるでしょう。
とくに10~12月は、これまでリターンを牽引してきた外国株式に加えて国内株式も絶好調だったことに注目です。日本で国際分散投資と言えば、なぜか“日本株オワコン論”を唱えて国内株式を軽視する風潮があるのですが、そういった賢しらな意見に惑わされず、王道の資産配分を採用しているGPIFの姿勢は大いに見習うべきです。なぜなら、国際分散投資というのは、国内株式も含めての“分散”だからです。
依然として新型コロナウイルス禍は収束の気配がなく、今後も厳しい運用環境が続くことになります。GPIFには引き続き現在のような腰の据わった王道の運用を続けて欲しいと思います。それは個人投資家にとって、やはりひとつのお手本となることは間違いないでしょう。