年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年度第2四半期(7~9月)運用状況が発表されましたので定例ウオッチです。7~9月の期間収益率は+3.05%、帳簿上の運用益は+4兆9237億円でした。市場運用開始来の収益率は年率+3.09%となり、運用資産額は167兆5358億円となりました。
2020年度第2四半期運用状況(速報)(GPIF)
あいかわらずメディアの注目度は低いですが、第1四半期(4~6月)に続いて好調な運用成績となっています。“コロナ・ショック”による暴落からV字回復した形です。こうした結果を見ると、改めて“市場に居続ける”ことの重要性を思い知らされます。
2020年7~9月は各国で新型コロナウイルス感染防止のための行動制限などが徐々に緩和され、経済活動正常化に向けた動きが本格化したことで株式市場は堅調に推移しました。引き続き各国政府・中央銀行が景気対策として空前絶後の財政拡大・金融緩和姿勢を続けていることも相場を下支えしています。
このため資産カテゴリー別に見ても、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式いずれもプラスリターンとなりました。とくに外国株式が牽引しており、国内株式がそれに続く形です。実体経済は依然として不透明ながら、少なくとも株式市場は“コロナ・ショック”による落ち込みを完全に取り戻すV字回復となっており、GPIFの運用もその恩恵を十分に享受しています。
究極の長期投資家であるGPIFの運用実績を見ていると、やはり“市場に居続ける”ことの重要性を思い知らされます。実際に“コロナ・ショック”の暴落で市場から退出した個人投資家は少なくありません。そうした投資家は残念ながら現在の回復の果実を享受することができず、損失だけを確定させてしまったことになります。
そうしたことを考えると、現在も市場に居続ける人は、金額の多寡とは関係なく、少なくとも現段階では全員が“コロナ・ショック”でも生き残った勝利者だと胸を張ってもいいのかもしれません。
もちろん、新型コロナ禍は依然として収束の気配がなく、欧米では再拡大が鮮明になってきました。日本も冬に向けて予断を許さない状況です。こうした中、株式市場も第二、第三の“コロナ・ショック”がいつ来てもおかしくないでしょう。ただ、暴落を乗り越える方法は、やはり“市場に居続ける”ことしか現実的にはあり得ないわけです。
引き続き厳しい投資環境が続きますが、GPIFには現在のような腰の据わった運用を続けて欲しいと思います。それは、個人投資家にとっても大きな道しるべとなるはずです。