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2019年11月11日
年金問題について情報取集するなら「年金時代」は必読サイト
あいかわらず年金問題についての国民的関心は高く、様々なメディアでいろいろな記事が登場します。ただ、年金問題というのは非常に専門的な要素が多いため、一知半解で論じるととんでもないミスリードを誘う危険性があります。実際にメディアに登場する年金関連の記事には明らかに筆者の理解不足だとわかるものも少なくありません。こうした玉石混交の情報に惑わされないためには、上質な専門メディアを参照することをお勧めします。年金問題については次のサイトがお勧めです。
年金時代(社会保険研究所)
非常の専門的な内容を丁寧に報道しており、さすが専門メディアだと感心しながらいつも参照しています。まさに年金問題について情報収集するなら必読のサイトでしょう。
「年金時代」を運営している社会保険研究所は、社会保障関連のハンドブックや手引きなど実務解説書、専門書を出版している専門出版社です。1973年から専門月刊誌「年金時代」を発行していたのですが、2017年からウェブ版に移行して幅広く情報を発信しています。さすが専門サイトだけあって、その内容は非常に正確であり、しかも高度。執筆陣も年金問題の専門家が筆を振るっており、いずれも読みごたえがあります。
例えば最近話題になった厚生労働省の「2019(令和元)年財政検証の結果について(報告)」について慶応義塾大学の権丈善一教授、元厚生労働省年金局数理課長の坂本純一氏と山崎信彦氏が「居酒屋ねんきん談義」として座談会形式で論じている記事があります。
第9回年金部会「2019(令和元)年財政検証の結果について(報告)」を巡って(「居酒屋ねんきん談義」)
まさにこれが“プロの議論”というものです。読んでいてまったく舌を巻く。目から鱗の指摘が次々と登場します。こうしたプロの議論に触れると一般メディアに登場する年金関連記事の浅薄さや事実誤認について否応なく気づかされるでしょう。やはり専門家というのは凄いものなのです。そして年金制度というのは、こういったプロが綿密な数理計算に基づいて設計した制度であるということをまざまざと見せつけられました。そう簡単に思い付きで批判できるような代物ではないのです。
そのほかにも様々な記事が掲載されており、どれを読んでも勉強になります。これだけの内容の記事がウェブで無料で読めるわけですから、まったくすごいサイトです。年金問題について関心のある人は、ぜひ「年金時代」で正しい情報を収集してみてはいかがでしょうか。問題の本質とは別の意図がある“煽り記事”を読んで悶々としているよりは、よほど生産的だと思います。
【蛇足】
蛇足ですが、このブログで「年金時代」の記事を読んで感じたことを書いたところ、権丈先生にFacebookでシェアしていただきました。
権丈先生にもブログを読んでいただいているとわかり、身が引き締まる思いです。改めて権丈先生の『ちょっと気になる社会保障 増補版』や『年金、民主主義、経済学:再分配政策の政治経済学Ⅶ』を読んで勉強し直そうと思います。