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2019年5月29日
年金について語るならこの2冊を読んでからにしよう―2019年5月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績
10連休があったもののプライベートでバタバタすることが多かった5月もあとわずかです。SBI証券のオリジナルプランで拠出・運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の5月の買付(4月拠出分)が約定していました。iDeCoは金融庁が発表した報告書案でも注目された老後に向けた自助努力の有力なツールです。金融庁の報告書案をめぐってネットの一部でなどで騒動が続いていますが、とにかく年金問題で騒動が起こる原因の大部分は、声を上げている人の多くが公的年金制度について決定的に無知だということがあります。そこで今回は「年金について語るなら、この2冊を読んでからにしよう」と言える基本図書を紹介したいと思います。
SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。
【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.131%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.104%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.21%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.52%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」
昨年末には大幅な株価下落でiDeCo資産も減少していたのですが、2019年に入ってからの株価の戻し上げで5月28日段階での拠出開始来運用益は+10・8%と再び2ケタ台となっています。もっとも、運用はまだ20年近く続くので、こうした数字はあくまで参考にすぎません。それよりも定期的にリバランスを実施することが重要になります。
さて、金融庁の報告書案をきっかけに公的年金について多くの不満の声が上がっていますが、そうした不満の声の大部分は、制度や制度の背景にある政策思想について決定的に無知なことが原因としてあります。そこで、公的年金など日本の社会保障制度とは、そもそもどのような思想に基づき歴史的に形成されてきたのかを知ることが非常に大事。そのための最良の参考書が権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障 増補版』。
これは素晴らしい入門書です。例えば、なぜ公的年金は積立方式ではなく賦課方式が採用されているのか。さらには、積立方式だろうが賦課方式だろうが公的年金の持続性という意味では同じであるといった専門家の間では常識でも一般人はほとんど知られていない考え方も紹介されています。そして、少子高齢化の進行により改革が迫られる日本の社会保障制度の現状をどのように把握し、どのように再設計すべきかをデータに基づいて論理的に考察します。どの部分を読んでも目から鱗でした。これを読んで以来、私は「ここに書かれていることを理解せずに年金など社会保障について語るな」と言いたくなったぐらいです。
権丈先生の本で問題の根本をガッチリと理解した上で、現実問題として私たち庶民はどのようにして自分の老後に向けた年金問題を解決していけばいいのかという問題を考えるべきでしょう。その際に参考になるのが田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』。
前にもブログで書きましたが、やはり老後の経済基盤は公的年金です。「年金保険料は払わない。自分で運用して老後資金を作る」と啖呵を切る人がいますが、公的な終身年金の威力を理解できないようなリテラシーでは、それこそ生活保護一直線でしょう。それよりも現行制度を理解し、徹底的に活用することこそが実戦的な一手。そのための考え方と具体策が網羅的に紹介されているのが田村さんのこの本。まさに現代人に必要なのは「年金戦略」なのです。
こうした本質的で基本的な知識を得ることで、社会保障制度とは「公助」「共助」「自助」のバランスによって成り立っているということが理解できるはずです。そして、iDeCoなどを活用した自助努力の意味も明確に見えてくるはず。ある種の隠れた意図をもって年金問題を騒ぎ立てるマスコミや自称専門家の言葉に煽られて不安・不満を募らせるよりも、よほど建設的なはずです。
【ご参考】
iDeCoは金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なります。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、イオン銀行、松井証券です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン、楽天証券確定拠出年金プラン、イオン銀行確定拠出年金プラン、マネックス証券確定拠出年金プラン、松井証券確定拠出年金プラン
また、iDeCoは、やや制度が複雑なので解説書を読んで研究するのも良いでしょう。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。