サテライトポートフォリオで少額だけ積み立て購入しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2018年4月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の4月の騰落率は+4.33%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+4.45%でした。3月まで軟調だった世界株式もようやくリバウンドした形です。そんな中、「iTrust世界株式」は参考指数に対して若干のアンダーパフォームでした。ただ、それ以上に気になったことが。受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」2018年5月号によると、世界の経済成長も天井を打った可能性があるそうです。
4月は米中の貿易摩擦に対する懸念がやや後退したことや、1~3月期の企業決算への期待から株価は上昇に転じました。業種別では、エネルギーや素材、一般消費財・サービス、電 気通信サービス、公益などが市場平均を上回る上昇となる一方、生活必需品は下落し、資本財・サービスや情報技術などは市場平均を下回っています。個人的には、まだまだ相場の方向性がはっきりしない展開に感じます。また、米国の長期金利がはっきりと上昇していることも、相場のキャラクターが明確に変わったという印象を強くしました。
そんな中、受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」2018年5月号を読むとピクテはかなり明確に「市場に変調の兆し」として、次のように指摘しています。
世界経済は、もはやフルスピードの成長を続けているわけではありません。ピクテの景気循環分析は世界の経済成長が天井を打ったことを示唆しています。
上記の分析が経済の変調を示唆していることは確かであり、金融市場は近いうちに調整を始めることが予想されます。ピクテでは、対応策の第一段階として、全資産の組み入れをニュートラルに戻しました。前月末からは債券を引き上げる一方で、キャッシュを引き下げ、株式は、前月のニュートラルに据え置きとしました。とくに米国株は上値が限られているとして、アンダーウエートを推奨しています。米国株に対して依然として強気の見方もあるのですが、ピクテはかなり冷静なバリュエーション分析をしています。
S&P500種株価指数の構成銘柄に対する投資家の利益成長期待は非現実的ともいえるおよそ20%に高止まりしており、実現はほぼ見込めそうにありません。(投資家の期待を実現するには、)2005年の例のように名目GDP(国内総生産)の6%成長が要求されることをピクテのモデルは示唆しています。ピクテのモデルがどこまで信頼できるかは判断の分かれるところですが、やはり米国の長期金利が3%を超えてくると、かなり高い確率で株式市場の需給構造が変化する可能性がでてくる。そういう状況を考えると、ピクテが指摘するような慎重な見方というのは、つねに頭の片隅に入れておきたいものです。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン