2016年9月8日

セゾン投信が楽天証券の個人型確定拠出年金にラインアップ―問われる“信託報酬の合理性”



セゾン投信が個人型確定拠出年金に参入します。9月末からサービス開始を予定している楽天証券の個人型確定拠出年金(個人型DC)の商品ラインアップにセゾン投信のセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドセゾン資産形成の達人ファンドが加わるとのことです。

セゾン投信 個人型DCへ参入 ~商品提供開始のお知らせ~(セゾン投信)
セゾン投信、個人型の確定拠出年金参入 楽天証券と(「日本経済新聞」電子版)
楽天証券が個人型DCでセゾン投信と組む理由(東洋経済ONLINE)

これまで直販にこだわり続けたセゾン投信としては大きな決断です。セゾン投信の2ファンドは、いずれも良心的なファンドとして実績があり、直販ならではのきめ細やかな情報発信や受益者に対するフォローの素晴らしさから根強い人気があります。これが個人型DCでも買えるとなると、楽天証券の個人型DCプランに興味を持つ人は少なくないのでは。来年1月から加入対象者が拡大されることで競争激化が予想される個人型DCの分野でセゾン投信と楽天証券がどういった切り口を打ち出してくるのか注目です。
2016年9月7日

日銀のETF購入枠拡大に翻弄される―ひふみ投信の2016年8月の運用成績



ひふみ投信の8月次運用報告書が出ました。2016年8月の運用成績は騰落率が-4.3%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は+0.5%でしたから、8月は指数を大きくアンダーパフォームしました。8月31日段階での純資産残高は311.7億円(前月は320.1億円)、受益権総口数は9,886,224,211口(前月は9,717,098,915口)となりました。純資産残高は保有資産の下落に伴い減少していますが、総受益権口数が増えていますので、8月も安定的な資金流入があったいえます。参考指数との比較で、ここ最近では最悪に近い運用成績となったわけですが、ひふみ投信ではその要因の一つとして、日銀による大規模なETF購入枠拡大があると見ています。
2016年9月6日

EXE-iシリーズはもっと評価されてもいいのでは



インデックスファンドシリーズの低コスト競争も、<購入・換金手数料なし>や「たわらノーロード」、そして「iFree」といった超低コストなファンドが相次いで登場したことで、それこそ数年前まで想像もできなかったレベルになっています。このため、かつて低コストインデックスファンドシリーズの代表格だったSMTやeMAXIS、インデックスe、Funds-iといったシリーズもすっかり影が薄くなってしまいました。なぜそうなったのかというと、NightWalkerさんが指摘するように「コストを下げるスキームを考えていなかったこと」につきます。

先進国株式クラスにみる消費者の行動 2016/9(NightWalker's Investment Blog)

信託報酬は委託会社(運用会社)、受託会社(信託銀行)、販売会社(銀行、証券)で分け合うものですから、いくら運用会社がコストを下げたくても、販売会社が同意しない限り信託報酬を引き下げるというのは非常にハードルが高いということが改めて明らかになりました。昨年に信託報酬を引き下げたニッセイアセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>シリーズは幸いなことに販売会社がネット証券など少数だったので、同意を得るのが比較的容易だったのでしょうが、旧来型インデックスファンドシリーズはなまじ地銀や中小証券にまで販路を広げたことで身動きがとれなくなっているのでしょう。

ところが、そういった観点から見ると、意外と面白いのがSBIアセットマネジメントの低コストファンドシリーズEXE-iです。商品設計段階から意図したのかは分かりませんが、コストを下げるスキームが用意されているからです。これは、もっと評価されるべきかもしれません。
2016年9月4日

資産形成・運用の究極の目的は「購買力の維持」



投資をして資産形成・運用を行っている人には、それぞれ目標があるはずです。最も一般的なのは老後への備えですが、それでは老後への備えとしていくら用意する必要があるのかといった疑問もわいてきて、いろいろと悩みは尽きません。結局、資産形成・運用の究極の目的は何なのでしょうか。そう思っていたら、バークレイズ日本法人の社長などを歴任し、年金運用のエキスパートである岡本和久さんが非常に分かりやすい動画をアップしてくれていました。



さすが大御所の言うことは的確だ。そうなんですよ、普通の庶民にとって資産形成・運用の究極の目的は「購買力の維持」に尽きる。そして、そういう資産運用の目的が分かると、資産形成が成功するかどうかを決定づける大きなファクターは、現役時代のライフスタイルにあるということにも気づきます。
2016年9月2日

新興国の経済成長の果実は誰が取り込むのか



先月は1週間ほど仕事でインドネシアに出張でした。低調だったインドネシア経済も、ここにきてようやく底入れの気配でした。東南アジアなど新興国の株式に投資している立場からすると、ちょっと安心したというところでしょうか。ところで新興国投資についてはいろいろな見方があり、“新興国投資不要論”も存在します。その理由としてよく指摘されるのが、新興国投資はリスクの割にリターンがともなっていないこと、そして新興国が成長するとしても、その成長の果実は先進国の企業が取り込むのだから、先進国企業に投資するだけで十分というものです。それはそれでひとつの見識だと思います。ただ、実際に新興国に定期的に足を運んでいると、そうも単純に思えなくなるのも事実。はたして新興国の経済成長の果実は誰が取り込むのでしょうか。インドネシアを例に少し考えてみようと思います。

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