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2021年2月16日

欲しいものは今すぐ買おう!―お金があっても“良いモノ”がなくなる時代がやってくる

 

2月15日、日経平均株価が30年ぶりに3万円台を回復しました。昨年後半からの株価上昇で、それこそ「寝ている間にお金が増える」という状態になっているは喜ばしい限りなのですが、その背後で恐ろしい事態が進行していることに気付きました。新型コロナウイルス禍で人々のライフスタイルが変化し、これまで当たり前のようにあった“良いモノ”を作る企業が姿を消そうとしているのです。もしかすると今後、お金があっても“良いモノ”がなくなる時代がやってくるかもしれません。だとするならば、欲しいものは今すぐ買うべき! そして、それをしっかりと手入れして長く愛用するようにしなければなりません。

なぜ「欲しいものは今すぐ買おう!」と思ったのかというと、ちょっと衝撃的なニュースがあったからです。革靴好きならお馴染み、日本を代表するメーカーであるリーガルコーポレーションが大規模なリストラを発表しました。


もともとビジネスウエアのカジュアル化で革靴メーカーはどこも苦戦していたのですが、新型コロナ禍による在宅勤務の普及などで、いよいよ決断をせざるを得なくなったということです。ただ、予想していたとはいえ衝撃的だったのは国内の生産子会社のひとつである米沢製靴を解散するという点。リーガルの高品質な革靴作りを支えてきた生産基盤が縮小し、同時にそこで蓄積されてきた職人たちの技術も失われてしまいます。

私は先日、「リーガル」ブランドを代表する本格革靴である「DRCD」シリーズのストレートチップを購入したのですが、生産基盤の縮小と技術の喪失が続けば、こうした高品質な革靴を作ることがだんだんと難しくなっていく可能性があります。それは革靴ファンとしてはなんとも残念なことです。

同様のことは他のアイテムでも起こっています。やはり先日、三陽商会の「100年コート」を手に入れました。バーバリーにも負けない素晴らしい品質のトレンチコートです。しかし現在、三陽商会は倒産の危機。はたしていつまで「100年コート」を生産・販売できるのか怪しくなってきました。

観光や飲食分野は、もっと悲惨です。“名所”“名店”と呼ばれた老舗が次々と営業終了や閉店に追い込まれ始めました。私は太閤園で結婚式を挙げたのですが、その太閤園も6月末で営業を終了することになりました。新型コロナ禍で、運営する藤田観光も支えきれなくなったのです。


藤田財閥の総帥、藤田伝三郎が作り上げた素晴らしい庭園と建物は大阪を代表する名所です。報道によると国内の法人に売却されるそうですが、はたして今後、あの庭園と建物がどうなるのか分かりません。少なくとも私にとっての“思い出の場所”が失われるのです。妻も非常なショックを受けていました。

同じようなことが様々な分野で起こっているのでしょう。新型コロナは既に起こっていた社会の変化を加速させた側面があるのですが、その変化があまりに急激すぎました。このため企業も変化に対応する時間的余裕がなく、結果として従来のものに変わる新しい“良いモノ”を生み出す前に、これまで提供していた“良いモノ”を供給することができなくなっています。

こうしたことを考えると、これから恐ろしい時代がやってくるのかもしれません。新型コロナ禍が収束した時、経済は正常化するでしょう。しかし、その時には世の中に“良いモノ”を作る基盤が失われてしまっており、それこそ靴も衣料品も飲食店も、極めて画一化されたものだけが残っている可能性があります。

株価上昇で資産を増やした人は多いことでしょう。しかし、「アフター・コロナ」は、それこそお金はあるのに“良いモノ”が存在しない“貧しい生活”の時代になるかもしれない。そんな嫌な予感がします。だとするなら、いま欲しいモノは、多少無理をしてでも買うべきではないか。なぜなら、それが将来も存在しているかどうかわからないのだから。

お金などはしょせん、モノやサービスを交換するための道具にすぎません。そんなものをいくら持っていても、肝心のモノやサービスがなくなれば意味がありません。そんなことを考えて、最近は「欲しいものは今すぐ買おう!」と決心しました。いまこそ“一生モノ”となる“良いモノ”や、一生の思い出になるサービスを積極的に手に入れる時だと感じています。

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