2020年1月30日

「雪だるま(先進国株式)」が逓減型信託報酬制を導入―大いに評価できるが、ちょっとひとこと



SBIアセットマネジメントが「SBI・先進国株式インデックス・ファンド/愛称:雪だるま(先進国株式)」に2月13日から逓減型信託報酬制を導入すると発表しました。

逓減型信託報酬制導入のお知らせ SBI・先進国株式インデックス・ファンド/愛称:雪だるま(先進国株式)(SBIホールディングス)

逓減型信託報酬制とは純資産残高が一定額に達すると、これを超えた部分の信託報酬を自動的に引き下げる仕組みです。同様の仕組みは既に三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」「eMAXIS Slim」シリーズなどに採用されています。私は以前から純資産残高の増加に応じて自動的に信託報酬を引き下げる仕組みが今後の日本の投資信託には必須だと考えていたので、今回のSBIAMの決断は大いに評価できます。その上で、ついでにちょっとひとこと言いたいこともあります。

「雪だるま(先進国株式)」は海外ETFを通じてFTSEディべロップド・オールキャップ・インデックスに投資するファンド・オブ・ETFsのパッシブファンドです。信託報酬に投資対象ETFの運用管理費を加えた実質的な負担は税込で0.10270%程度でした。これに逓減型信託報酬が導入されたことで、純資産残高が500億円未満の部分0.10220%程度、500億円以上1,000億円未満の部分0.09912%程度、1,000憶円以上の部分0.09549%程度と順次割安になります

こうした仕組みは、他のインデックスファンドでは既に三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」「eMAXIS Slim」シリーズ、三井住友DSアセットマネジメントの「三井住友・DC」シリーズなどで採用されており、アクティブファンドでもレオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」などが導入しています。この仕組みの重要性についてはブログでも従来から強く指摘してきました。

受益者還元型信託報酬はインデックスファンドの低コスト競争で必須の条件になる

こうした仕組みは、ファンドを受益者とともに育てる意識につながります。ファンドの純資産が増加することは委託会社、受託会社、販売会社ともに利益の拡大につながるのですが、信託報酬が自動的に引き下げられる仕組みを導入することで、受益者にとっても利益となります。つまり、委託会社、受託会社、販売会社、受益者が純資産残高拡大に向けてウィン・ウィンの関係となります。これこそ運用会社が目指すべき姿でしょう。

ですから逓減型信託報酬制というのは今後、日本の投資信託にとっては必須条件になるのではないでしょうか。だからこそ今回のSBIAMの動きも大いに評価するわけです。また、これを契機にまだ制度を導入していないニッセイアセットマネジメント「<購入・換金手数料なし>シリーズ」、アセットマネジメントOne「たわらノーロード」、大和証券投資信託委託「iFree」など競合ファンドもぜひ導入に向けて動いて欲しいと強く思います。

さて、ここまでSBIAMの取り組みを大いに評価したわけですが、ちょっとひとこと言いたいことが。「雪だるま」シリーズの低コスト化を進めるのは大いにけっこなのですが、「雪だるま」シリーズのオリジナル版ともいうべきファンド・オブ・ETFsである「EXE‐i」シリーズのメンテンナスがおろそかになっているのでは。ここはぜひ「雪だるま」だけでなく「EXE-i」シリーズの信託報酬引き下げにも努力して欲しいものです。

なぜなら、「EXE-i」シリーズはSBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)オリジナルプランに採用されているファンドだからです。これもブログで指摘してきましたが、とくに確定拠出年金に採用されているファンドの低コスト化を進めるのは、運用会社の社会的責任であり、最優先課題だと思うからです。ぜひ前向きに検討して欲しいものです。

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