2020年1月25日

DCに採用されているファンドの責任―2020年1月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績



2020年が始まって、ようやく気分的にも通常モードになりました。それに合わせてというわけではないですが、今年の積立投資も本格的にスタート。第1弾はSBI証券のオリジナルプランで拠出・運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の1月の買付(12月拠出分)です。いつも通りの商品ですが、12月から購入・保有ファンドの一部で信託報酬が引き下げられました。素晴らしいことだと思います。確定拠出年金(DC)に採用されているインデックスファンドは一般販売されているファンド以上にコストを抑える責任があると思うからです。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.131%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.104%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

以前にブログで紹介したように「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」の信託報酬が12月26日から0.34%に引き下げられました。これまで何度も書いてきたことですが、iDeCoに限らず企業型も含めて確定拠出年金(DC)に採用されているインデックスファンドの信託報酬引き下げというのは、非常に重要なことです。なぜなら、DCはプランにランアップされている商品しか購入することができず、商品ラインアップの変更も非常にハードルが高いからです。

まだiDeCoなら運営管理金融機関を変更することで低コストな商品ラインアップのプランに乗り換えることができます。ところが企業型DCとなると、加入者は企業が採用した金融機関のプランに事実上の強制加入となるわけですから、そこに高コストなファンドしかラインアップされていないというのは非常な問題となるわけです。この問題は、はやくから個人ブログなどで指摘されていましたが、ここにきてメディアも問題視する記事が増えています。

企業型確定拠出年金で「高コスト投信」増加中、加入者が取れる対策は?(ダイヤモンド・オンライン)

ここで大江英樹さんが指摘しているように、企業型DCで高コストなファンドしか提供しないのは加入者に対する忠実義務違反でしょう。おそらく同じことを米国でしたら、間違いなく訴訟となるはずです。運用会社にはDC専用ファンドの信託報酬を引き下げていく責任があるわけです。そして、ここにきて少しずつですが、その機運が高まってきました。野村アセットマネジメント、ニッセイアセットマネジメント、三菱UFJ国際投信など大手運用会社が相次いでDC専用ファンドの信託報酬引き下げに動いています。このほど日興アセットマネジメントもDC専用ファンド4本の信託報酬を引き下げました。

証券投資信託約款変更のお知らせ(日興アセットマネジメント)

今後、こうした動きが加速することは、企業型DCだけでなくiDeCoの加入者にとっても有益なことです。DCは国民年金・厚生年金を補完する公的な制度として存在しています。いわば公共インフラですから、そこにサービスを提供する事業者には、やはり一定の公共的責任が生じるはず。インデックスファンドを供給する場合、やはりそれはコストの低さにほかなりません。ですから、DCに採用されているファンドのコストを引き下げていくことは金融機関の責任なのです。

【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プラン

iDeCoは公的年金を補完する制度ですから、これを活用する前提として日本の公的年金制度について勉強することを強くお勧めします。この点に関しては、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障 増補版』が最良にして必読の入門書です。このほど、三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が刊行されます。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。家計管理から貯蓄・投資、公的年金やiDeCo・つみたてNISA活用までトータルに解説している竹川美奈子さんの『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』も老後資金について“自分ごと”として考えるための方法論を丁寧かつ詳細に論じた優れた入門書です。





iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。





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