2017年4月6日

日本で投資家が嫌われる理由―余りに大きかった「失われた20年」の傷跡と新たな希望



ウェルスナビの柴山和久代表による非常に面白い論考を見つけました。

「ポートフォリオは主菜、個別銘柄はスパイス」という運用常識に日本の投資家が真逆をいく理由(ダイヤモンド社書籍オンライン)

なぜ日本でポートフォリオを構築した上での「長期・積立・分散」投資が普及せずに、「預金+株式の個別銘柄や投資信託の短期売買+FX」という世界的に見れば“異形”の運用スタイルが一般化してしまったのかという理由をよく説明できていると思います。この指摘をさらに敷衍すると、なぜ日本で投資家が世間一般から嫌われているのかという理由も分かります。
2017年4月5日

資金が大幅流入しても慌てて投資しない―ひふみ投信の2017年3月の運用成績



「カンブリア宮殿」登場以来、人気急上昇中の「ひふみ投信」ですが、受益者からすると複雑な心境です。アクティブファンドの場合、急激な資金流入は運用の難易度を上げるケースが多いですから。そんな心配をしながら、このほど発表された2017年3月次運用報告書を読んで驚きました。「ひふみ投信」の3月の騰落率は+3.2%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は-0.6%でした。3月も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれています。気になっていた純資産残高は3月31日段階で496.1億円(前月は403.0億円)、受益権総口数は12,512,291,598口(前月は10,585,691,409口)となり、やはり大幅な増加です。しかし、大きな資金流入があっても慌てて投資していないところに安心しました。
2017年4月4日

「iTrust新興国株式」が新たに登場―投資対象は労働人口増加国に限定



既にアウターガイさんが報告していますが、ピクテ投信投資顧問が低コストアクティブファンド「iTrust」シリーズの新商品として「iTrust新興国株式」を4月28日に新規設定します。

ピクテが低コストアクティブファンド「iTrust新興国株式」を設定(バリュートラスト|価値を生む・未来を託す・投資を歩く)
「iTrust新興国株式」有価証券届出書(EDINET)

このほど「iTrust」受益者専用サイト「iInfo」から受益者限定で先行発表がありました。新規設定されるファンドは「iTrust新興国株式 愛称 働きざかり~労働人口増加国限定~」だそうです。新興国の中でも労働人口(15~64歳の生産年齢人口)が増加している国の企業を対象に投資するファンド・オブ・ファンズ(FoF)方式のアクティブファンドです。信託報酬(税抜)は0.525%ですが、FoFで投資する指定投資信託証券のコスト0.6%がかかりますので、合計1.125%となります。コンセプトはなかなかユニーク。ただ、個人的にはすぐに飛びつくのは止めた方がいいと思う。かなり思い切った投資方針のファンドですから、しばらくは運用実績などをウオッチしたいところです。
【追記】
4月17日から正式に募集が始まりました。ピクテ投信投資顧問の専用サイトもオープンしています。

iTrust新興国株式 愛称 働きざかり~労働人口増加国限定~(ピクテ投信投資顧問)

2017年4月3日

企業型確定拠出年金の商品ラインアップにも規制が必要だと思う



以前にもブログで書いたのですが、弟の勤務先が加盟してた厚生年金基金が解散することになり、今年から企業型確定拠出年金に移行するそうです。そのため移行の是非を含めて労使交渉が行われ、最終的に某メガバンクの企業型確定拠出年金プランを採用する方向だとか。そういった話を聞いていて改めて思ったのは、企業型確定拠出年金こそ商品ラインアップへの規制が必要ではないかということです。現在、積立NISAの対象となる金融商品に関する規制が議論されていますが、その流れでぜひ企業型確定拠出年金の商品ラインアップへの規制も議論するべきでしょう。
2017年4月2日

積立NISAの対象商品が規制されるのは当然だ―運用ビジネスに求められる公益性



2018年から制度が始まる積立NISA。現在、金融庁を中心に対象となる金融商品についての議論が進められています。

家計の安定的な資産形成に関する有識者会議(金融庁)

有識者会議では、積立NISAで購入できる金融商品について様々な条件を設定する規制が検討されているようです。これは一種の規制強化であって、時代の流れに逆らう動きともいえるます。だから、規制内容のついて議論する前に、そもそも積立NISA口座で購入する金融商品は規制されるべきかどうかという点について考えておく必要があるでしょう。私は基本的に規制されて当然だと考えています。なぜなら積立NISAは通常の課税口座とは性格が異なり、20年という異例の長さの税制優遇措置が執られているということの意味を深く認識するべきだから。そこには通常の運用ビジネスとは異なる"公益性"が求められるべきなのです。
2017年3月31日

純資産残高急増で「ひふみ投信」は変質するのか



やはりテレビの影響というのはすごいもので、「カンブリア宮殿」に取り上げられたことをきっかけにレオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」「ひふみプラス」「ひふみ年金」の純資産残高が急増しているそうです。

「ひふみマザーファンド」の残高1800億円に(「日経新聞」電子版)

記事を読むと異様な盛り上がりで、かえって心配になります。何度もブログで書いてきましたが、アクティブファンドへ投資というのは軽々にするべきものではなく、ファンドやファンドマネージャーの運用哲学にかなり踏み込んでコミットメントして初めて資金を投じるべきなのです。その意味で現在の「ひふみ」人気に危険な兆候を感じてしまうのは私だけではないでしょう。そして、日本株ファンドの宿命として純資産残高が増加すれば、運用の難易度は上昇します。これまでも好成績を上げていたアクティブファンドの多くが、それゆえの人気から純資産残高が急増し、ファンド自体が変質していった歴史があります。果たして「ひふみ」もまた変質していくのでしょうか。

関連コンテンツ