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2017年4月4日
「iTrust新興国株式」が新たに登場―投資対象は労働人口増加国に限定
既にアウターガイさんが報告していますが、ピクテ投信投資顧問が低コストアクティブファンド「iTrust」シリーズの新商品として「iTrust新興国株式」を4月28日に新規設定します。
ピクテが低コストアクティブファンド「iTrust新興国株式」を設定(バリュートラスト|価値を生む・未来を託す・投資を歩く)
「iTrust新興国株式」有価証券届出書(EDINET)
このほど「iTrust」受益者専用サイト「iInfo」から受益者限定で先行発表がありました。新規設定されるファンドは「iTrust新興国株式 愛称 働きざかり~労働人口増加国限定~」だそうです。新興国の中でも労働人口(15~64歳の生産年齢人口)が増加している国の企業を対象に投資するファンド・オブ・ファンズ(FoF)方式のアクティブファンドです。信託報酬(税抜)は0.525%ですが、FoFで投資する指定投資信託証券のコスト0.6%がかかりますので、合計1.125%となります。コンセプトはなかなかユニーク。ただ、個人的にはすぐに飛びつくのは止めた方がいいと思う。かなり思い切った投資方針のファンドですから、しばらくは運用実績などをウオッチしたいところです。
【追記】
4月17日から正式に募集が始まりました。ピクテ投信投資顧問の専用サイトもオープンしています。
iTrust新興国株式 愛称 働きざかり~労働人口増加国限定~(ピクテ投信投資顧問)
「iTrust新興国株式」は、「働きざかり~労働人口増加国限定~」という愛称が示すように、新興国の中でも労働人口が増加しているインド、ブラジル、南アフリカ、インドネシア、マレーシア、メキシコ、フィリピンといった国の企業から銘柄選択して投資するアクティブファンドです。新興国株式ファンドといえば、ほとんどの場合は中国や韓国の企業がポートフォリオで大きなウエートを占めるのですが、これらの国は既に労働人口が減少しているので投資対象とはなりません。このため通常の新興国株式ファンドとはかなり異なったポートフォリオとなると予想できます。
こうした特徴はなかなかユニークです。経済成長や企業収益の拡大には、その国の人口動態が大きく関連しているというのは一つのストーリーですから、その人口ボーナスの成果を獲得することを狙うというのは、なかなか面白い投資戦略です。また、新興国株式インデックスファンドをコア、「iTrust新興国株式」をサテライトとして使うという方法もあります。新興国株式インデックスファンドは中国や韓国の企業が大きなウエートを占めますので、これら労働人口減少国の企業を含まないポートフォリオとなる「iTrust新興国株式」を保有することで分散の高度化を狙うというのも一つの考え方となるかもしれません。
一方、課題もあります。まず、そもそも人口増加国の企業に投資することがどこまで有効なのかということは判断の分かれるところ。そして、やはりコストが微妙です。FoF方式のためファンドの信託報酬に加えて実際に投資するルクセンブルグ籍外国投資信託とルクセンブルグ籍外国投資法人のコストも必要なので信託報酬は1.125%。新興国株式アクティブファンドとしては比較的低コストと言えますが、それでも税抜で1%を超える信託報酬のファンドを購入するのは、ちょっとためらってしまう。新興国への投資は当該国の資本規制などの関係で売買手数料や保管手数料も割高になりやすく、実質コストはもっと高くなるのが目に見えていますし。
そんなわけで「iTrust新興国株式」については、すぐに食指が動かされるというわけではないというのがいまの段階での印象。ただ、コストが割高になりやすい新興国株式アクティブファンドでも信託報酬1%強の商品を投入するピクテ投信投資顧問の熱意は買います。また、労働人口増加国の企業に限定して投資するという戦略が、はたしてどこまで有効なのかというのも、実際に投資するかどうかは別にして、興味のあるところ。まだファンドの詳細が正式に発表されたわけではありませんから、引き続き注目はしていこうと思います。