2019年11月10日

三菱UFJ国際投信がDC向けファンド2本の信託報酬を引き下げ―DC向けファンドの低コスト化は最優先課題



既に何人もの投信ブロガーさんが報告していますが、三菱UFJ国際投信が確定拠出年金(DC)向けインデックスファンド2本の信託報酬を2019年12月26日付で引き下げます。

確定拠出年金(DC)向けファンドの信託報酬率引き下げについて(三菱UFJ国際投信)

ここにきて大手運用会社がDC向けインデックスファンドの信託報酬を引き下げる動きを強めており、三菱UFJ国際投信もその動きに対応したということです。これは非常に評価できる動きです。ある意味で、一般販売されているインデックスファンドよりもDC向けファンドの低コスト化の方が優先順位は高いからです。

今回、信託報酬が引き下げれることになったファンドは以下の2本です(カッコ内は引き下げ後の税抜き信託報酬)。

「三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド」(0.34%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)

いずれもカテゴリー最安値といきませんが、それでもコストが割高になりやすい新興国資産に投資するファンドとして十分に低コストです。個人型確定拠出年金(iDeCo)では「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」はSBI証券のiDeCoプラン(オリジナルプラン)、「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」はSBI証券(オリジナルプラン)、松井証券、イオン銀行などで採用されていますから、これらプランを活用している人にとって恩恵は大きいでしょう。私自身もSBI証券のiDeCo(オリジナルプラン)で「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」を積み立てているので、今回の信託報酬引き下げは非常にありがたいです。

それ以上に大きな意味があるのが企業型確定拠出年金(企業型DC)で両ファンドを購入している人にとって恩恵があることです。個人型DC(iDeCo)の場合、加入者が自由に運営管理金融機関を乗り換えることで、より低コストなファンドへの移換が可能です。しかし、企業型DCは企業として採用したプランに従業員が事実上強制加入させられているため、プランに含まれるファンドの信託報酬が割高だと受益者は非常な不利益を被ることになり、しかもそこから逃れるすべもありません。その意味で企業型DCに採用されているDC向けファンドの低コスト化というのは、一般販売されているファンドの低コスト化よりも最優先されるべき課題となります。

これはいつも指摘していることですが、企業型DCは加入企業の従業員にとっては事実上の強制加入である上に、本来は企業が負うべき企業年金や退職金の運用リスクを従業員に負担させるという側面があります。その上で信託報酬まで徴収しているのですから、せめて信託報酬は“業界最安値を追求”するぐらいでなければならないはずです。

そうした中、2019年7月から厚生労働省の省令によって金融機関が運営管理機関として企業型確定拠出年金(企業型DC)に提供しているの商品ラインアップをインターネットで公開することが義務付けられました。これまでブラックボックスとなりがちだった企業型DCの商品ランアップにも“日の光”があてられるようになりました。これを受けて運用会社もDC向けファンドの信託報酬を引き下げる動きを見せています。この流れを確実なものにするためにも、今回の三菱UFJ国際投信の動きは評価できます。この調子で、他の運用会社もDC向けファンドの低コスト化に取り組んで欲しいと思います。

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