年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2018年度第2四半期(7~9月)運用状況が発表されましたので定例ウオッチです。7~9月の期間収益率+3.42%、帳簿上の運用益は+5兆4143億円でした。市場運用開始来の収益率は年率+3.33%となり、運用資産額は165兆6104億円となりました。世界的に株式相場が好調だったことで、当該四半期も堅調な運用結果となっています。
平成30年度第2四半期運用状況(速報)(GPIF)
ただ、あいかわらず運用が好調だとマスコミもあまり話題にしないのがGPIFのかわいそうなところです。逆に大幅な下落のときにどういった報道がなされるのか注目したいものです。
2018年7~9月は外国株式が引き続き米国株を中心に収益を牽引しましたが、国内株式も後半に大幅な上昇となり収益を上積みしています。為替も円安傾向となったことで外国債券の評価額も上昇しました。GPIFの髙橋則広理事長のコメントです。
2018(平成30)年度第2四半期(7月~9月)は、国内外の総じて良好な経済指標や堅調な企業業績が相場の支えとなったことなどから、米国及び国内株式市場は大幅な上昇となりました。また、外国為替市場では、米国連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ姿勢が継続されたことを受け、内外金利差の拡大などを背景に円安基調となりました。このような結果、7月から9月までの運用資産全体の運用実績はプラス3.42%となりました。資産配分を見ると国内債券の比率が25.26%となり、基本ポートフォリオ配分である35±10%のほぼ下限です。やはりGPIFはマイナス利回りの国債を購入することを躊躇していると見るべきでしょう。また、現金など短期資金は8.58%となり、前四半期からさらに上昇しているところを見ると、株式を積極的に買い増す動きも見せておらず、基本ポートフォリオの資産配分を維持しながら、慎重な運用が行われていることをうかがわせます。
さて、7~9月は好調な運用状況となったわけですが、ご存知の通り10月に入ってから世界的に株価は大幅下落しています。このため、今の株価水準が続くようだと10~12月の期間収益は大幅なマイナスとなる可能性が高い。そのこと自体は特に問題ないのですが、注目はマスコミなどがどのよう報じるのかということです。とにかくGPIFというのは可哀想な存在で、運用が好調な時はほとんど話題にならず、一時的にでも期間収益率がマイナスになるとセンセーショナルに報道される。それは日本国民の金融リテラシーの低さの象徴なのですが、それでもマスコミにはもう少し国民に対して「年金運用とは何か」ということを啓蒙するような姿勢が欲しい。そういった報道機関の社会的役割といったものを軽視しているから“マスゴミ”などと揶揄されるのです。
そんなわけで、マスコミの姿勢が改まるまで、このブログでは意地でもGPIFの定例ウオッチを続けます。
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