2018年11月5日

婚約指輪に選んだ「NIESSING」は素晴らしい逸品だった



結婚がきまったので、彼女に婚約指輪を贈りました。二人でいろいろとお店を見て回った結果、選んだのがドイツのジュエリーブランド「NISSING」の「ザ・ニーシングリング」です。知る人ぞ知るブランドですが、実際に手にしてみるとこれが素晴らしい逸品でした。さすが“ドイツの至宝”と言われるだけのことはある。彼女もすっかり気に入ってくれたようです。

婚約指輪というと、それこそ「ハリーウィストン」や「カルティエ」「ティファニー」といったハイブランド、「ロイヤル・アッシャー」「ラザール・ダイヤモンド」「モニッケンダム」といったカッターブランド、そして国内のブライダルジュエリーブランドまでたくさん存在します。基本的に彼女が気に入る指輪を買おうということで一緒にいろいろなお店を回ったのですが、そこで彼女が選んだのが「ニーシング」でした。

ニーシングは、あまりマーケティングにお金をかけないブランドなので一般的な知名度はいまひとつですが、ジュエリーの世界では超有名なメーカーです。なんといっても最大の特徴はリングの張力だけでダイヤモンドを固定してしまう「テンション・セッティング」という技法。このためダイヤを固定するために必要な“爪”を廃することができ、それこそリングの間でダイヤが浮遊しているようなデザインが可能になるのです。



なぜこんなとんでもないことができるのか。秘密はリングの製法にあります。金属加工は基本的に鋳造と鍛造という二つの方法があります。鋳造は溶かした金属を鋳型に流し込んで固めるだけですが、鍛造は金属に何度も圧力を加えて内部の空隙をなくし、結晶を微細化し、配向性を高めます。このため鋳造と比べて鍛造は圧倒的に強度が高くなる。そしてニーシングのリングは、この鍛造によって製造され、さらにダイヤの保持に最適化された張力を実現しました。これによりダイヤにはリングから一定の張力がかかり続け、それがダイヤを保持するわけです。この張力はかなり強力で、ニーシングの工場にある専用設備でなければダイヤをセットできないそうです(テンション・セッティングを真似た商品も存在しますが、いずれも強度や耐久性に問題が生じやすいそうです)。

また、リングの材質にも特徴があります。ニーシングのリングはゴールドが基本ですが、独自の冶金技術によって高い強度と張力を実現しています。また、様々なカラーバリエーションを生み出すことにも成功しました。このためユーザーは自分の気に入った色調を選ぶことができます。ちなみに彼女は「サンドグレー」という色を選択。砂浜の色をイメージしたグレー調のカラーです。最初はちょっと地味ではないかと思ったのですが、かえってダイヤの輝きが目立つのでした。

また、ダイヤにも独特のこだわりがります。テンション・セッティングはダイヤに一定のテンションがかかり続けます。しかし、ダイヤには劈開性(一定の面に沿って割れやすい性質)があります。このため低品質のダイヤでは、リングのテンションによってダイヤが割れてしまう危険性がある。テンション・セッティングは、高グレードのダイヤでしか採用できないのです。ちなみに今回は心斎橋の直営店で購入したのですが、運よくブライダルフェア開催中だったので、特典でダイヤのグレードを上げることができました。ダイヤのグレードは4C(カラット、カラー、クラリティ、カット)で評価しますが、今回はカラーとクラリティをワンランクずつアップ。0.25カラット、Fカラー、クラリティ:VS1、カットグレード:エクセレントのダイヤを付けることができました。



こうして生み出されたニーシングのリングですが、見れば見るほどそのデザイン性も素晴らしい。バウハウスの流れをくむモダニズムの意匠を色濃く表現しています。そして、こういったデザインは普段使いにも最適。婚約指輪といえば箪笥の肥やしになることが多いそうですが、ニーシングなら日常生活の中でもさりげなく付けることができるでしょう。ちなみに、「ザ・ニーシングリング」は2000年にドイツ高等裁判所によって美術品としても認定されており、著作権を取得しています。このためドイツとオーストリア、ノルウェーの4つの美術館に永久所蔵されています。まさに“美術品を日常的に使う”というモダニズム芸術運動の精神を受け継いでいるといえそうです。

そんなわけで、婚約指輪として彼女に贈ったニーシングは素晴らしい逸品でした。少し予算オーバーだったけれども、良い買い物だったと思います。同時に、そんな“渋い”ブランドを選ぶ彼女のセンスにも少し感心したのでした。

(婚約者に贈った指輪を紹介するなどは悪趣味な記事だとは思いますが、40歳を過ぎてようやく結婚できることになったオッサンのキモいのろけ話だと思ってご容赦を。)

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