2016年10月19日

年金基金がアクティブファンドに投資すると受益者から訴えられる時代に



日本では、インデックスファンドやETFによるパッシブ運用の認知度がまだまだ低いのですが、最近の米国ではものすごい勢いでアクティブ運用からパッシブ運用への資金シフトが進んでいます。その理由は様々なあるのですが、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を読んで驚きました。なんと最近では年金基金などがアクティブファンドに投資すると、受益者から訴訟を起こされるケースがあるとか。そこで訴訟リスクを回避するためにも、年金基金などがアクティブ運用からパッシブ運用へと資金を移動させているそうです。

役割終えた銘柄選択、パッシブ運用へ資金流入加速(ウォール・ストリート・ジャーナル)

有料記事で申し訳ないのですが、ようするに米国ではアクティブファンドのコストの合理性を裁判で問われた場合、それを証明するのが非常に難しくなっているということです。こうなってくると、アクティブ運用はコスト体系などを根本的に見直さない限り、ますます資金をパッシブ運用に奪われるかもしれません。
2016年10月17日

さわかみ投信の個人型確定拠出年金(iDeCo)の割り切った発想は潔いのだけれども・・・



2017年1月から個人型確定拠出年金(個人型DC、愛称:iDeCo)の加入対象者が拡大されることもあり、金融機関の競争も激しくなってきました。とくに面白いと感じるの、独立系直販投信が相次いでiDeCoへの商品提供を開始したことでしょう。セゾン投信が楽天証券のプランに、ひふみ投信のレオス・キャピタルワークスがSBI証券のプランにそれぞれ商品を提供することになりました。ところが、これらと一線を画する動きをしている独立系直販投信が、さわかみ投信です。他社のiDeCoに商品を供給するのではなく、さわかみ投信自体が運営管理機関としてiDeCoプランを立ち上げました。

さわかみ投信個人型確定拠出年金
個人型確定拠出年金(「個人型DC」) サービス開始のお知らせ(さわかみ投信)

しかも、いろいろな意味で「これはスゴイ」を思わずにはいられない中身です。なんと商品ラインアップが「さわかみファンド」を含めて3本しか用意されていない。ここまで割り切った発想のプランを用意するとは、これはこれで潔いです。
2016年10月15日

根強い人気の「世界経済インデックスファンド」―特徴のあるコンセプトへの支持は厚い



twitterのやり取りで気づいたのですが、SBI証券の投資信託積立設定件数の月間人気ランキング(2016年9月)が非常に面白い。トップ10すべてがノーロードの低コストインデックスファンドとなっているところにジワジワとインデックス投資が普及していることをうかがわせますし、ランクインした商品のほとんどが最近登場した“超”低コストファンドというあたりにも積立投資家の感度の高さをうかがわせます。ただ、それよりも驚いたのが、堂々のランキング1位が三井住友トラスト・アセットマネジメントのバランス型インデックスファンド「世界経済インデックスファンド」だったことです。コスト面では競争力を失いつつあるファンドですが、にもかかわらず根強い人気が続いています。特徴のあるコンセプトへの投資家の支持が厚いということでしょう。
2016年10月13日

iInfoの投資教育コンテンツが優れモノ―iTrust世界株式の2016年9月の運用成績



ピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド、iTrust世界株式の9月次運用報告書が出たので定例ウオッチです。iTrust世界株式の9月の騰落率は-2.64%でした。参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-2.04%でしたから、9月は再び参考指数からアンダーパフォームしました。投資信託は信託報酬などコストが発生しますので、インデックスを上回るためにはコスト分を超える超過収益を上げる必要があります(ちなみにインデックスファンドはベンチマークに対してコストの分だけ必ずアンダーパフォームします)。現在のような市場キャラクターの変わり目ともいえるような環境では、なかなかアクティブファンドが大きな超過収益を上げるのが難しいのかもしれません。iTrust世界株式はアクティブファンドとしては低コストなファンドですが、それでもコストを超える超過収益を上げるのに苦戦している。どうも今年は我慢の展開となりそうな予感です。一方、受益者専用情報提供サービス「iInfo」が一段と充実してきました。とくに投資教育コンテンツ「BASE」は優れモノです。
2016年10月12日

インデックスファンドの低コスト競争が“本物”になるためにもニッセイアセットマネジメントに期待する



すでに多くのブロガーさんが話題にしていますが、ニッセイアセットマネジメントが低コストインデックスファンド「購入・換金手数料なしシリーズ」の信託報酬を引き下げるとの観測が出ています。ソースは日経新聞に掲載された田村正之編集委員による記名記事です。

個人型DCに割安投信続々、数百万円お得も(「日本経済新聞」電子版)

まだ正式発表はありませんが、かりにこれが事実だとすると、その意義は極めて大きいといわざるを得ません。それは、現在進行中のインデックスファンドの信託報酬の低コスト競争が、“本物”になるためのメルクマールになる可能性を秘めているからです。その意味でニッセイアセットマネジメントの挑戦に期待したいのです。

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