2016年10月13日

iInfoの投資教育コンテンツが優れモノ―iTrust世界株式の2016年9月の運用成績



ピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド、iTrust世界株式の9月次運用報告書が出たので定例ウオッチです。iTrust世界株式の9月の騰落率は-2.64%でした。参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-2.04%でしたから、9月は再び参考指数からアンダーパフォームしました。投資信託は信託報酬などコストが発生しますので、インデックスを上回るためにはコスト分を超える超過収益を上げる必要があります(ちなみにインデックスファンドはベンチマークに対してコストの分だけ必ずアンダーパフォームします)。現在のような市場キャラクターの変わり目ともいえるような環境では、なかなかアクティブファンドが大きな超過収益を上げるのが難しいのかもしれません。iTrust世界株式はアクティブファンドとしては低コストなファンドですが、それでもコストを超える超過収益を上げるのに苦戦している。どうも今年は我慢の展開となりそうな予感です。一方、受益者専用情報提供サービス「iInfo」が一段と充実してきました。とくに投資教育コンテンツ「BASE」は優れモノです。

9月の市場環境は米国の利上げ観測が強まったことや、欧州中央銀行(ECB)による追加金融緩和策見送りなどもあり総じて低調に推移しました。一時的な反発はありましたが、月後半にはドイツ銀行問題が浮上したことで市場参加者のリスクオフの姿勢が強まったことも株価を押し下げる要因になっています。

業種別では、原油など商品市況の上昇を背景にエネルギー株や素材株が上昇し、公益株や情報技術銘柄も堅調な動きでした。しかし、ドイツ銀行問題への懸念から金融株が軟調となり、ヘルスケアや生活必需品銘柄も市場平均以上の下落となりました。iTrust世界株式の現在のポートフォリオは、ヘルスケア銘柄や生活必需品銘柄のウエートがやや高くなっているので、これが市場平均からアンダーパフォームする要因のようです。

さて、運用成績では苦戦が続いているiTrust世界株式ですが、もうひとつの付加価値である受益者専用情報提供サービス「iInfo」は、あいかわらず素晴らしい充実ぶりです。最新レポートとデータ集が更新され、今月も非常に興味深く読みました。さらに「これは優れモノだ」と思わせるのが、投資教育コンテンツ「BASE」です。

「BASE」はテキストと動画で投資に関する知識をレクチャーしてくれるコンテンツですが、これが素晴らしい。基礎編である「BASE」では「リスク・リターン」「債券」「株式」「分散投資」の各テーマでテキスト4本、レクチャー動画35本がアップされています。基礎的な内容からスタートし、最後はかなり高度な内容にまで踏み込んでいますので、これを理解するだけで個人投資家としては、かなり上級者レベルの知識を修得できます。

さらに上級編として「ADVANCED」のアップも始まりました。第1弾は「投資に役立つ平均編」としてテキストとレクチャー動画7本がアップされています。ここでは「平均」という概念に焦点を当て、「算術平均」「幾何平均」「調和平均」の違い、「平均」と「中央値」の関係、「単純平均」と「加重平均」の意味、そして「期待値」の考え方といった投資にとって重要な概念について分かりやすく説明してくれています。

個人投資家は頓珍漢な投資論に惑わされることが多いのですが、その原因は基礎的な概念や理論の枠組みに対する理解が不十分だからです。だからこそ、こういった基礎から応用まで含んだ投資教育コンテンツというのは貴重。私自身も改めて勉強し直して、いくつか自分の勘違いに気づかされました。動画はピクテ投信投資顧問の荻野琢英社長はじめスタッフが講師を務めており、ホワイトボードを使っての講義スタイルというのもコストを抑えた手作り感があって好感が持てます。

アクティブファンドの存在意義は、第一は高い運用成績を上げることです。しかし、リターンは常に不確実なのも事実。だとするならば、信託報酬の合理性を担保するためにはリターン以外の付加価値も受益者に提供することが必要でしょう。その意味でピクテ投信投資顧問の取り組みは非常に面白いし、評価できると思うのです。
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