2019年5月29日

年金について語るならこの2冊を読んでからにしよう―2019年5月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績




10連休があったもののプライベートでバタバタすることが多かった5月もあとわずかです。SBI証券のオリジナルプランで拠出・運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の5月の買付(4月拠出分)が約定していました。iDeCoは金融庁が発表した報告書案でも注目された老後に向けた自助努力の有力なツールです。金融庁の報告書案をめぐってネットの一部でなどで騒動が続いていますが、とにかく年金問題で騒動が起こる原因の大部分は、声を上げている人の多くが公的年金制度について決定的に無知だということがあります。そこで今回は「年金について語るなら、この2冊を読んでからにしよう」と言える基本図書を紹介したいと思います。
2019年5月28日

老後の“満足な”生活水準の大前提は公的年金―自助・共助を否定する者はいずれ公助さえも否定する



金融庁が金融審議会「市場ワーキンググループ」で議論する「高齢社会における資産形成・管理」の報告書案のが公開されました。現状分析から将来展望まで実に練りこまれた報告案であり、一読の価値があります。

「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)(金融庁)

ところが報告書案の中身の一部を朝日新聞が報道してから、ネットではちょっとした炎上騒動です(「人生100年の蓄え」国の指針案が炎上 「自助に期待するなら年金徴収やめろ」批判殺到(IT戦士ゆかたんのよもやま話))。年金制度というのはセンシティブな問題ですから、こうしたメディアによる切り取り報道は本当に有害だと感じます。おそらく批判している人のほとんどは、報告書案を読まずに勝手な解釈で吹き上がっているわけですから。報告書案をよく読めば、国は公的年金で老後の生活が賄えなくなるなど一言も書いていません。金融庁は、老後の“満足な”生活水準を維持するためには公的年金だけでは不足するので、その不足分を自助で補ってくださいということです。そして、“満足な”生活水準の大前提は公的年金の受給であることに変わりはありません。それを理解せずに「だったら年金を廃止し、掛金徴収もやめろ」などと思ってしまうのは大変な間違いで、いずれ自分の首を絞める危険性があります。さらに言うと、自助・共助を否定する者はいずれ公助さえも否定する可能性があります。
2019年5月26日

『なぜデフレを放置してはいけないか 人手不足経済で甦るアベノミクス』―経済学者としての良心のほとばしりが心を打つ



経済学者の岩田規久男先生が日銀副総裁退任後、矢継ぎ早に新著を出しています。金融政策の実務に携わる経験を経て、その主張は一段とパワーアップしたようです。新著『なぜデフレを放置してはいけないか 人手不足経済で甦るアベノミクス』を読んで一層、その感を強くしました。この本は、なぜ国民経済にとってデフレが“悪”なのかを明晰に説明してくれます。そしてなにより「(「デフレなど問題ではない」と言うような)鈍感な経済学者は失業者や非正規社員の苦しみをわかっているのか」という著者の指摘に経済学者としての良心のほとばしりが感じられ、非常に心を打ちます。
2019年5月25日

IMFが米中貿易戦争の影響を予測―「iTrust世界株式」の2019年4月の運用成績



サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2019年4月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の4月の騰落率は+4.51%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+4.32%でした。これで3カ月連続で参考指数をアウトパフォームしたことになります。徐々にですが調子が上がってきましたが、やはり気になるのは5月に入ってから一気に雲行きが怪しくなった米中貿易戦争の行方。この問題に関してピクテから配信された受益者向け資料の中に興味深いデータがありました。米中貿易戦争が米国と中国に及ぼす影響をIMF(国際通貨基金)が予測したものです。
2019年5月24日

ニッセイAM「<購入・換金手数料なし>シリーズ」6本が信託報酬を引き下げ―先駆者には別格の偉大さがある



ニッセイアセットマネジメントは超低コストインデックスファンドシリーズ「<購入・換金手数料なし>シリーズ」のうち6本の信託報酬を6月27日から引き下げると発表しました。

<購入・換金手数料なし>シリーズ6ファンドの信託報酬率引下げ(投資信託約款変更)について(ニッセイアセットマネジメント)

最大の注目は看板ファンドである「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」。なんと信託報酬が0.1%の壁を破り、0.0999%以内(税抜き)となります。日本でも個人向けに販売されている投資信託の信託報酬がベーシスポイント(0.01%=1ベーシスポイント)の世界に突入したわけで、これは画期的なことです。ニッセイAMは、まさに未開の地平を切り開きました。そして、何事も先駆者と追随者との間には隔絶した差があります。やはり先駆者には別格の偉大さがあるのです。
2019年5月23日

米国株への投資が一段と低コストに―「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が信託報酬引き下げ



三菱UFJ国際投信が低コストインデックスファンドシリーズ「eMAXIS Slim」のうち、S&P500指数に投資する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の信託報酬を6月14日から引き下げると発表しました。

業界最低水準の運用コストをめざす『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』信託報酬率の引き下げを実施(三菱UFJ国際投信)

これにより当該ファンドの信託報酬は年0.15%以内(税抜)となります。米国株式指数の本筋ともいえるS&P500にこれだけ低コストで投資できるとは素晴らしい時代になったものです。インデックスファンドの競争が進んだことで、米国株投資も一段と低コストになりました。

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