2019年5月25日

IMFが米中貿易戦争の影響を予測―「iTrust世界株式」の2019年4月の運用成績



サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2019年4月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の4月の騰落率は+4.51%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+4.32%でした。これで3カ月連続で参考指数をアウトパフォームしたことになります。徐々にですが調子が上がってきましたが、やはり気になるのは5月に入ってから一気に雲行きが怪しくなった米中貿易戦争の行方。この問題に関してピクテから配信された受益者向け資料の中に興味深いデータがありました。米中貿易戦争が米国と中国に及ぼす影響をIMF(国際通貨基金)が予測したものです。

4月はまだ米中貿易戦争の先行きに対して楽観的な見方が強かったこともあり世界的に株価は上昇基調で推移しました。業種別では、情報技術、コミュニケーション・サービス、金融などが大きく上昇し、ヘルスケアや公益が下落しています。こうした中で「iTrust世界株式」も上手く流れに乗れたといえそうです。

ただ、5月に入ってからは状況が一変しました。 トランプ大統領が中国に対する追加関税を引き上げたの対し、すかさず中国も米国に対する報復関税を発動するなど一転して米中貿易戦争が激化の様相です。このため世界の株式相場も方向感を失い、非常に不安定な状態が続いています。

この問題に関して、ピクテが「iTrust」シリーズの受益者に配信している機関投資家向けマクロ経済データ集「Global Macro Watch」最新版の中に興味深い資料がありました。米中貿易戦争が米国と中国の経済に及ぼす影響をIMFが予測したものです。

それによると最悪のシナリオでは米国は0.9パーセント・ポイント、中国は1.6パーセント・ポイント成長率が下振れする可能性があるとのことです。しかも、回復にも数年を要するとの見通しですから、これは大変な影響です。まさに「米中貿易問題の深刻化は、米中両国のみならず世界経済にとってのマイナスが予想されるため、今後の動向に注意が必要」というピクテの指摘は無視できません。

また、ピクテのマクロ経済分析では世界経済自体もピークアウトを迎えているとのことです。世界のGDP成長率、景気先行指数いずれも鈍化していますし、バリュエーション分析でもあらゆる資産が割高になりつつあります。実際に企業収益もピークアウトしつつあります。

こうなると、しばらくはシートベルトをしっかりと締める時期でしょう。ピクテもキャッシュポジションを高めておくことを推奨していますが、やはりリスク過剰になっていないか、改めて自分のポートフォリオを確認するときだといえそうです。

【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン

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