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2025年2月18日

GPIFの2024年10~12月の運用成績は+4.31%―年金積立金の役割とは

 

妻の出産などで忙しく、ほとんどニュースを追えていなかったのでいまさらですが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2024年度第3四半期(10~12月)運用状況が発表されたので定例ウオッチです。2024年10~12月の期間収益率は+4.31%、帳簿上の運用損益はプラス10兆7032億円でした。市場運用開始来の収益率は年率+4.4%となり、運用資産額は258兆6936億円となりました。


前四半期(7~9月)は騰落率にして-3.57%、損益額でマイナス9兆1277億円の実績でしたが、次の四半期できっちりと取返した形です。

10~12月は、米国景気がソフトランディングするとの見方が強まったことなどで米国株を中心に主要株式指数がいずれも上昇しました。また、長期金利が低下しことで債券価格は下落しましたが、円安が進んだことで外国資産の円換算価格は上昇しています。このため国内債券こそ-1.33%となりましたが、そのほかは外国株式が+8.96%、国内株式は+5.55%、外国債券も+4.12%と軒並み大幅上昇しています。やはり国際分散投資の強みを発揮し、前四半期のマイナス以上のリターンを稼ぎ出しました。

さて、運用成績が短期的にでもマイナスになると盛んにマスコミで取り上げられる一方、好調だとそれほど話題にならないGPIFですが、ここ数年は総じて好調な運用が続いていることで、最近では「それだけ利益が出ているなら、積立金を原資にして保険料を引き下げて欲しい」とコメントする人がいます。しかし、こうした考え方が出てくるのは、GPIFが運用する年金積立金の目的がまだ完全に理解されていないからでしょう。この点に関してGPIFは以下のように説明しています。


日本の公的年金制度は賦課方式ですから、基本的に年金給付=保険料収入+国庫負担となっています。そして少子高齢化によって徐々に保険料収入+国庫負担では年金給付に不足するようになる。そこで不足が本格化する2030年代中頃から年金積立金を徐々に取り崩し、概ね100年後には給付額の1年相当額を残るように計算されています。

つまり、現在の年金積立金は現役世代ではなく、将来世代(つまり現在の現役世代の子供たち)の保険料負担がこれ以上重くならないようにするためにあるわけです。それは同時に、現役世代の年金給付を急激に減らさないようにするためでもあります。

私は最近、2人目の子供が生まれたこともあり、こうした日本の年金制度の考え方が今まで以上にリアルに感じられるようになりました。たしかに現在の年金保険料率は安くないし、さらに高くなれば、相当に家政に悪影響を及ぼすことになるでしょう。だからこそ、自分の子供たちがそのような苦しみを被らないためにも、GPIFの運用にはますます頑張って欲しいのです。

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