2023年10月30日

アクアスキュータムのバルマカーンコートを購入

 

ようやく気温も下がってきて、朝夕は肌寒くなってきました。そろそろコートの準備が必要なのですが、これからの時期にまず活躍するのが綿コートです。先日、アクアスキュータムのバルマカーンコートを購入しました。といっても新品ではないです。たまたま古着屋を冷やかしていたら、程度の良い品を発見し、値段も安かったので思わず購入したのでした。じつはこういったアイテムは、古着で手に入れるというのもけっこうおもしろいのです。

購入したアクアスのバルマカーンコートは英国製で、タグのデザインから恐らく1980年代から90年代のものでしょう。生地はアクアスの代名詞である綿ギャバジンに強力な撥水加工を施した「アクア5」です。ただ、さすがに撥水性はほとんど失われているようでした。それでもとくに目立つ汚れや痛みもなく、非常に程度が良かった。そして値段をみると、なんと6700円。試着してみるとサイズもぴったりです。これは買うしかないとなったわけです。

最近は若者の間でも古着ブームがすっかり定着しました。じつはアクアスや、あるいはバーバーリーのコートなどは古着で手に入れるというのもけっこうおもしろい方法なのです。というのも、アクアスにしろバーバリーにしろ、かつてはちょっと高級な“実用品”として販売されていました。だから決して安くないけれども、いまのような異常な価格ではなかったのです。ところが現在は状況がまったく変わってしまいました。

例えばアクアスも1980年代は英国で購入しても価格は日本円換算で10万円未満でした。その後、日本のレナウンがライセンス品の販売をはじめ、日本でも手に入れやすくなり、やはりライセンス品なら10万円未満で購入できました。実際に私は15年ほど前にライセンス品のアクアスのシングルトレンチコートを購入しましたが、やはり10万円しなかった記憶があります。


そして当時は英国製でも10万円台前半だったのです。ところがその後、レナウンが倒産し、アクアスは英国製のインポート品だけになったのですが、値段がどんどん上がっていきました。これはバーバリーも同様です。三陽商会へのライセンス契約を止め、やはり英国製インポート品しか買えなくなってからの値上げがえげつない。

背景にあるのは、恐らく多くの欧米ブランドで進められたラグジュアリー戦略でしょう。それまでのちょっと高級な“実用品”ではなく、文字通り“ラグジュアリーブランド品”へと立ち位置を変え、そのためのマーケティング戦略として価格を大幅に引き上げていったのです。このため現在、例えばアクアスの英国製トレンチコートは20万円を超え、バルマカーンコートでも19万円台です。バーバーリーにいたってはトレンチコートなら30万円台から40万円台、バルマカーンコートでも30万円台です。こうなると、もはや普通の人が“実用品”として購入するのが難しくなります。

こういったことを踏まえると、アクアスにしろバーバリーにしろ、程度の良いものが見つかれば古着で購入するというのが非常に面白い選択肢なのです。手ごろな値段で本物の“実用品”を手に入れることができるのですから。アクアスやバーバリーのコートというの本来は軍用品から生まれた実用品なのですから非常に丈夫で程度の良い古着が存在する上に、そもそも新品下ろしたての状態よりも少し着古してくたびれた感じになった方が実際に着用すると圧倒的にカッコ良いのです。

ちなみに古着で購入するならバーバリーよりもアクアスの方が圧倒的にお得です。さすがバーバリーは人気があるので古着の価格も高め。一方、アクアスは玄人好みのブランドなので人気の面でバーバリーよりやや劣ることもあり、古着価格も手ごろなのです。私は昔からアクアス派なのでありがたいです。

新品で購入すれば20万円近くするコートを6700円で手に入れることができたので非常に賢い買い物ができました。それこそ“実用品”として、これからガシガシ着ていきたいと思います。

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