2021年11月28日

下落局面がないと積立投資家は困ります

 

南アフリカで新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が報告されたことなどが嫌気され、26日は日米ともに株価が大幅に下げました。せっかく順調に含み益を積み上げたのに、それが減っていくのを眺めるのはしんどいものです。とはいえ、相場の下落局面は悪いことばかりではありません。それどころか、積立投資家にとっては下落局面がないと困るのです。

既に多くの人が指摘していますが、積立投資というのは価格が下落した局面で多く買い、上昇局面では少なく買うことです。だから、もし下落局面が存在せずに一本調子で上昇すると、積立投資は一括投資と比べてリターンが大幅に劣後することになります。この点に関してモーニングスターに興味深い記事が載っています。


伝統4資産(外国株式、国内株式、外国債券、国内債券)のインデックスファンドの過去20年間のリターンとボラティリティを算出したものです。やはりこの20年間は、外国株式インデックスファンドがもっともリターンが高かったのですが、同時に下落幅も最大になるなどボラティリティも大きかったことが示されています。

そしてこの記事で注目すべきは後半部分、積立投資した場合のシミュレーションです。やはり外国株式インデックスファンドのパフォーマンスがもっとも良かったのですが、他の資産カテゴリーのインデックスファンドとのパフォーマンスの差は、一括投資した場合よりも大きくなります。つまり、積立投資ではボラティリティが大きいファンドほどリターンが良くなる可能性があるということです。こうしたことをデータを見ると、現在のような大きな下落局面は積立投資にとっては、決して悪いことではないと言えます。

もちろん、投資効率の面では一括投資の方が合理的なのは当然ですが、そもそも一括投資などはまとまった余裕資金を持つお金持ちにしかできない投資手法です。日々の生活費の中からわずかずつ投資資金を捻出するしかない庶民は、積立投資するしかない。だからこそ、投資効率で劣る積立投資を選択せざるを得ない庶民にとって、相場の下落局面がないと困るともいえるでしょう。

そして、もっとも大切なことは、下落局面でも積立を止めないということにつきます。もし下落局面で積立を止めてしまったら、積立投資の基本戦略が崩壊してしまう。過去20年間のデータは、そのことも示しているわけです。

関連コンテンツ