2020年8月27日

なぜ悪質な毎月分配型ファンドはファンド・オブ・ファンズ形式なのか



ここ数年、日本で販売されている投資信託の品質は急激に改善されました。超低コストインデックスファンドの登場によって低コスト化が急速に進み、アクティブファンドの中にも低コストで個性的な運用を目指すファンドが少しづつですが増えています。ところが、やはりまだ個人投資家と金融機関の間の情報の非対称性を利用した悪質なファンドも存在します。ファンド・オブ・ファンズ(FoFs)形式の毎月分配型投信がその典型でしょう。カン・チュンドさんが厳しい批判の声を上げています。

悪質なファンド・オブ・ファンズ形式の投資信託はどうしてなくならないのか?(ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月決算型)が純資産額第1位なんて恥ずかしいことです・・)(インデックス投資のゴマはこう開け!)

カンさんはFoFs形式にすることで手数料を二重取りする手法を厳しく批判しています。これは全くその通り。その上で、ちょっと補足したいことがります。それは、なぜ毎月分配型投信の多くはFoFs形式なのかということです。これは単純に手数料を多くとるためだけではなく、もっと構造的な問題を抱えているのです。

カンさんが記事で取り上げている「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月決算型)」のように、多くの毎月分配型投信は実際の投資対象に投資するファンドのほか、MMFなど低リスクな短期債券ファンドが組み合わされたものが多い。これはよくよく考えると非常に不可解な仕組みです。本来であれば、直接に投資対象の株式や債券に投資しながら、現金もポートフォリオの中で保有すればいいものを、あえて複数のファンドを保有する形式にしているからです。

じつはこの仕組みは手数料を二重取りするためだけではなく、もっと大きな看過できない理由があります。それは、毎月分配金を出すための仕組みなのです。毎月分配型投信は元本を取り崩してまで特別分配金を出すことで批判されているのですが、じつは法律上、元本を取り崩して分配金を出すことはそれほど簡単なことではありません。そこで利用されるのがFoFs形式なのです。ファンド内で保有するファンドを売買することで形式的に分配金原資を作り出すことができるのです。

このカラクリは朝倉智也さんの『低迷相場でも負けない資産運用の新セオリー』を読んで知ったのですが、まさに目から鱗でした。なぜなら、毎月分配型投信というのは、違法ではないけれども法律のグレーゾーンを突くことで成立する商品だとも言えるからです。これは手数料を二重取りしていること以上に問題でしょう(だからこそ金融庁は毎月分配型投信を厳しく批判したのでは。行政というのは法律のグレーゾーンを突くような行為に対しては非常に厳しい視線を持つものだからです)。

こうした点からも、やはりFoFs形式の毎月分配型投信というのは非常に問題が多い。カンさんが指摘するように「消費者をどこか小馬鹿にしている姿勢を持っている」「情弱な消費者に対しては高コストの仕組みにしてもよいのだ、という開き直りの姿勢すら垣間見られる」のです。ようするに“志が低い”。そして、そういった志の低いファンドが資金を集めてしまうところに、日本の投信業界の健全化もまだ道半ばという思いを改めて持つのでした。

注:ちなみに私は“毎月分配”というコンセプト自体は否定しません。そういったニーズも現に存在するからです。ただ、毎月分配金が欲しい投資家に対して金融金融機関は、高コストな毎月分配方投信を勧めるといった安直な提案ではなく、例えば分配頻度の高いETFを活用した運用を提案するといった“志の高い”営業活動を行って欲しいと思うのです。そのことも以前にブログで書きました。

毎月分配金を欲しがる人には個人向け国債とETFを薦めなさい―お薦め商品を考えてみました

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